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義妹に虐められていても婚約者である彼さえ味方でいてくれれば大丈夫、そう思っていたのですが……。  作者: 四季


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14話「喧嘩は終わらない」

「な……に、すんのよ」


 ロロルレニアは顎を片手で押さえながら目の前の男ガインスを睨む。


「女の子相手にこんなことするなんて……最低な男ね!!」

「最低なのはそっちだろ」

「あたしが最低ですって!? ふざけないで! 冗談言うにもほどがあるわよ! 言って良いことと悪いことがあるって分からないの!?」


 愛し合っていた頃の二人はもうどこにもいない。


「先に手を出したのはお前だろが」

「それはあんたが偉そうな物言いするからでしょ!?」

「そのまんま返すわ」

「何ですって? あたしは本当に偉いの! 偉いんだから何言ってもいいのよ! それに魅力的な女の子だし!」


 マリーを裏切り、傷つけ、そうしてようやく成り立つ関係。彼女の犠牲の上に存在する二人の縁。


 ……それはもう壊れかけている。


 そもそも場の雰囲気から始まった関係だ。

 一度崩れ始めればみるみる崩れてゆくのが当然と言えば当然なのだろう。


「ロロルレニア、お前さ、何勘違いしてんの? そうやって威張ってりゃ俺を言いなりにできると思ったら大間違いだって。俺は奴隷じゃない。てか、女なんだから尽くせよな。当たり前だろ? 今みてぇなこんな関係、俺が寛容だから成り立ってるだけだろが」


 二人の間に永遠の絆などありはしない。


「うるさい! 黙りなさいよ! あたしが上、そうでしょ!? あんたってそんなことも分からないくらいの馬鹿男なの!?」

「お前が上なわけねぇだろが」

「ちょっと、今、何て言ったの? あたしが上じゃないって? おかしなこと言ってんじゃないわよ! あたしは常に人の上に立つ人間よ! だって魅力的なんだもの!」


 騒ぐロロルレニアに苛立ったガインスは近くのテーブルに置かれていた花瓶を投げつけた。

 入っていた花は床に落ち、水は飛び散り、割れた破片もろともロロルレニアに襲いかかる。


「きゃあっ」


 これにはさすがのロロルレニアも悲鳴をあげた。


「いったぁい……」

「破片刺さったか? ざまぁ」

「切れたじゃない……」


 大きな傷ではない。

 ただ彼女の肌にうっすらと傷ができたことは事実である。


「はは! ざまぁじゃ! ざまぁざまぁざまぁざまぁざまぁざまぁざまぁざまぁざまぁ! ざまぁの極み! ざまぁざまぁざまぁざまぁざまぁざまぁ! ざまぁっざまぁっざまぁざまぁざまぁざまままままままざまぁざまぁざまぁっ! ぎゃはは! ちょっとは痛い目遭えや! ざまぁ! ざまぁ! ざまぁ!」


 ガインスは嬉しそうな顔で挑発的な動きをする。

 腰を左右にスライドさせるように振りながら掲げた両手を異国の文化盆踊りのように動かし、唇を何度も尖らせたり戻したりするという妙な表情を重ねる。


「ざまぁじゃざまぁ、ばーか! ざまぁっ、ぎゃはは! たまには痛い目に遭えや! ざまぁじゃ、ざーまぁざーまぁざまぁなんだよざーまぁざーまぁ! ざまぁじゃばーか! ばーか! ざまっぁざっまぁ! ざっまっぁっ! ざまっぁざっまぁざまぁっ! ざまぁっざっまっぁざっまぁ!」

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