5.5話 佐々木叶
ある日、学校から帰ると家族で引っ越す事を伝えられた
父の転勤が決まったらしい
家は貧しいわけでは無いが、家を2つ借りられるほど稼いでいるわけじゃない。
それに、高校生の娘を一人暮らしさせるのも心配でついてきてほしいらしい。
親の言い分は分かるし、別に仲のいい子が居たわけでもなかったから別になんとも思わなかった。
ただ、転入試験を少し面倒くさいと感じたくらいだった
新しい環境でも何も変わらないと思っていた。
そう…
彼と出会うまでは。
〜〜〜
転校したての私に注目する人たちの視線が嫌で早く帰ることにした
帰ればきっと解放されるだろうと、そう思っていたのに。
「叶ちゃーん!!」
(どうして追いかけて来るのだろう…)
私はクラスからの追跡者に追いかけられていた。
「一緒に帰ろー!!」
(あの子は私と同じ方向に帰るのだろうか)
そんなことよりも今は彼女から逃げなければ
でも、もう長くは走れないだろう
そう思っていると、曲がり角を曲がったすぐに図書室を見つけた
そこに隠れようと中に入る
ガララッ
本棚に真っすぐ進んでいるところで気がついた
同じクラスの子が居た
名前は知らないが顔に見覚えがある。
急いでいた私は「黙っていて」というジェスチャーだけして奥に隠れる。
そのすぐ後にガラガラという音が聞こえ追手がへ入ってきたのが分かる。
先にいたあの子と話して帰っていったようだ。
おそらく黙っていてくれたのだろう。
「ありがとう」
私はあの子のいた場所の近くへ出るとお礼を言う。
そのまま奥の本棚を見る。
その日は結局何も借りることはなかったけれど、いい場所を見つけた。
〜〜〜
一週間が経ったある日
彼に話しかけてみることにした。
「本、好きなの?」
私の声に驚いたのか、彼──日川春也が勢いよく振り向く
「ど、どうして?」
日川は顔に出るタイプなのだろう。
わかりやすくて好感が持てる。
「ここ、一週間ずっといるから」
私は質問に答える。
一週間ここにいる理由なんて本好きぐらいしか無いだろうし。
「いや、たまたま初日に出会ってずっと待ち伏せしてるだけかもしれないだろ?」
「確かに、その可能性もあった」
私は日川の指摘に率直な感想を述べる。
「でも、自分で申告したから多分違う」
私は少し考えてでた考えを言う。
だって、もしそうなら自分から言うような真似はしないだろうから。
そこで、私は彼の読んでいる本に目が行く。
私が5日前くらいに読んだ本だ
「この本知ってる」
「そうなの!?感想とかある?」
私が言うと日川がすぐに聞き返してくる。
感想なんて言ったことがないのでうまく言えていたかわからない。
その後は日川と本について語り合った。
友だちができてすごく嬉しかった。
〜〜〜
ある日、いつものように図書室にいると日川とその友だとらしき男子生徒が並んで勉強していた。
「日川、こんにちは」
「さ、佐々木さん、こんにちは…」
日川は少し焦ってたように言う。
なにか問題でもあったのだろうか。
「なぁ、春也…お前佐々木さんと仲良かったのか?」
「うん、日川は仲良くしてくれてる。」
男子生徒が日川にそう聞いているのが聞こえて私は答える。
「抜け駆けすんな、俺にも紹介しろ」
私の答えを聞いた男子生徒がまたも日川に話しかける。
抜け駆けがなんのことかわからないが、紹介ということは友だちになりたいのだろう。
日川の友達なら私がここにいることも広めないだろうし…
「日川の友達なら信用できる。仲良くしてほしい。」
私はその男子にそういった。
その後は3人で勉強した。
友達と勉強するのはこんなにも楽しかったのかと驚いた。
その後、その男子生徒と連絡先を交換した。
日川とも交換したかったが断られたから仕方ない、また今度交換しようと思う。
その男子生徒はユーザー名がマウンテンライスだったから多分苗字が山田なんだと思う。
日川はその日何やら用事があるとやらで早めに帰っていった。
私はその時の「あいつ彼女と別れたのに予定ってなんだ…?」というつぶやきが気になって聞いてみた。
すると、山田は渋りながらも教えてくれた。
なんでも日川は最近彼女に浮気されて別れたらしい。
日川とは出会って間もないが大切な友達だと思っている
転校前にはこんなことなかったから、彼に大変なことがあったら自分にできる範囲で助けてあげたいと思う。
だから、そんな彼を浮気なんてして傷つけた人が本当にいるのか気になって彼に直接聞いてみた。
「彼女と別れたってほんと?」
ここまでお読みくださりありがとうございます
今回は佐々木さんサイドでした。
佐々木さんから見た日川いかがだったでしょうか。
次回からは本編が動き出すと思いますのでどうぞお楽しみに。




