4話
リリィさんたちに拾われてから早一週間。今まで毎日魔法の練習と剣の練習。少しは対応できるようになってきたけどレベルによるステータスの圧倒的な差はひっくりかえせない。
「よし、じゃあ明日はいよいよ魔物狩りだね。」
「マジですか?」
「うん。そろそろレベルも上げてどんどんスキルを手に入れないとね。」
今俺が持ってるスキルは、交渉能力Lv2と技術模倣Lv4だけだ。交渉能力はどう返答したらいいか、今までの展開と矛盾がないのかとか相手の感情の波が少しわかる。技術模倣は見た動きを再現できる。再現できるというかどう動くかわかるというか。俺の身体能力で出来ることは出来るって感じである。
「というかスキルって後天的に手に入るんですね。」
「うん。例えば火魔法を使ってたら火魔法がスキルになって魔力効率上がったり、剣術を鍛えてたら剣術スキルが手に入ったり。」
「私の剣術スキルは後天的に双剣術に変化したわよ。」
なるほど、そういう事もあるのか。
「じゃあ今日は最後に魔法をあの的に当ててみて。」
30mくらい離れたところの的を指される。魔法を起動して的を狙う。今回使うのは一番得意な風魔法だ。風魔法エアバレットを使う。風の弾を飛ばすだけの魔法だ。大きい弾を細かく分割して飛ばす。
バキバキと木の的を破る音が響き的だった残骸がその場落ちる。
「うん、狙いは少し雑だけど、飛距離はあるし、狙いの粗さも弾を散らして当たるように工夫してるね。いいでしょう。」
リリィさんからお墨付きをもらう。いや、及第点かな。
「それにしても魔力出力凄いわね。」
「魔力が多いとそれだけ威力あがるからね。」
「そんなに魔力あるんですか?俺。」
「えっとね、魔力300っていうとレベル7くらいで到達する人が多いの。」
「初期魔力量が多ければ多いほど強くなれるのよ。よかったわね。」
なるほど、これならある程度のレベルの魔物まで魔力量のごり押しで勝てるんじゃないかな・・・
「そういえばお二人のレベルって?」
「私は21だよ。」
「19よ。」
予想はしてたけど結構差があるな。少なくとも15まで上げないと役に立たない。
「うちで一番高いのはアルナよ。いくつだっけ?」
「確かこの前聞いたときは30でしたね。」
すげぇな。確かに回復役は一番最初に狙われるしステ盛る必要あるか。
「で、今日はアンタ食事当番だけど、時間大丈夫なの?」
もう夕方だった!急がないと。
すぐに湯浴みして着替え買い物を済ませる。
「おっちゃん、これ何?」
豆みたいなものが詰まった袋を指さして質問する。
「それかい?それはね、オオマメだよ。癖のない味で塩ゆでしたらつまみにぴったりだよ。」
大豆かな・・・?まあいいか。買おう。
「これ一つ。あとキャベットと小麦粉ちょうだい。」
「毎度!兄ちゃん見ない顔だけど冒険者かい?」
「えぇ、最近この街に来ました。」
「そうかい。じゃあこれおまけだ。」
そういって野菜を何個か詰めて渡してくれた。あとは・・・肉かな。
肉屋のおばちゃんに声をかける。
「お姉さん、チッキの肉くださいな。」
チッキ・・・まあ鶏だな。味も。
「もう、上手ねぇ。少しおまけしとくわよ。」
このおばちゃん結構気前良くておまけしてくれる。
「ありがとう!」
家に帰り料理を始める。まあ簡単なものだ。油を鍋にぶち込んで皮剥いだ鶏肉に塩で下味つけて衣付けてあげる。唐揚げ的な感じ。俺としては片栗粉と混ぜるほうが好きだ。
「し、できた。」
「ただいま。」
ちょうどみんな帰ってきた。温かい状態で出せるな。
「ちょうどできました。座ってください。」
配膳を終えて俺も座る。
興味津々にみんな見てる。
「これなんて料理?」
「唐揚げです。小麦粉付けたチッキの肉を油に突っ込んだだけです。」
ザクっと感はないけどこれはこれでアリだな。米食いてぇ。
思ったより受けがいいみたいでみんなバクバク食べてる。
「美味しいわね。ワイン欲しいわ。」
「一応買ってありますよ。どうぞ。」
「私もいただいても?」
「どうぞ。」
酒宴が始まってもうた。俺まだ未成年だから飲めないんだよなぁ。
というかアルナさん酒癖悪いね。俺の首掴んで離さないんだけど。苦しいけど天国みたいな感じ。最高。
地獄の酒宴が終わり、朝。冒険に出る準備をする。剣を腰に下げて革の装備を身に着ける。
「遅い。」
「すみません。この装備慣れなくて。」
街を出て草原に入る。魔法を起動しておき手元に保持する。
大体20センチくらいで控えめのエアバレットを30分割して細かくばらまけるようにする。
ガサッと音がしてみるとゴブリンが三匹いた。
「いたわ。やってみなさい。」
距離を取りつつエアバレットを操作して曲線を描いて反対側に落とす。
「ギッ!」
反応した!今だ!
「エアバレット!」
弾を散らしてゴブリンに当てる。しかし軽く傷は負わせられたけど絶命までには至らない。
エアバレットを2個起動する。6分割で威力重視にする。
「エアバレット!!」
頭に直撃した。パァンっ!と乾いた音を立てて頭が弾け飛ぶ。
「うっわ・・・きったね。」
死体の心臓付近から魔石を取り出して火魔法で死体を焼く。
「あ、レベル上がってる。」
ステータスを見てみるとレベルが4に上がっている。魔力も420まで上がった。
「うん。まあ悪くないと思うよ。」
ここまで短い付き合いだけどリリィさん嘘付けないから微妙な時は絶対に良いとは言わない。さすがに雑過ぎたか。
「最初の陽動が雑。最初のばら撒き弾も下手に散らすから威力が落ちてる。まあギリ及第点かな。」
こっちはこっちで手厳しい。
「この調子でどんどん魔物を狩っていこう。」
そういってリリィさんが探知魔法を発動する。指をさした方向を見てみるとゴブリンがいた。多いなここゴブリン。
「ファイアボール!」
威力を抑えて速度に魔力を使って牽制する。12発くらい連射したのち当たってもダメージがないことをゴブリンが理解。こっちに対する恐怖心がなくなったため魔法の起動でひるまずに突っ込んでくる。大体5m程度まで近づいてきた。
「エアバレット。」
18分割のエアバレットを威力に振って発動。こちらに対する恐怖はなく舐め腐っているのでそのまま突っ込んでくる。単調な奴は操りやすくて助かるね。
「死ね。」
パンパンパンと小気味の良い音を立てて頭が弾けていく。絵面きっつ・・・生臭いし。
「まあ初めてでここまでできるなら良いんじゃない?」
「そうですね。じゃあ今日はこの辺で切り上げましょうか。」
う~ん。火魔法は風魔法に比べて弾速が遅いな。もう少し速度があれば燃焼と合わせて武器になりそうだけど。
街に戻り、ギルドに報告と魔石の買い取りをお願いする。
「杖買いましょう。」
「杖?」
「魔法の起動をサポートしてくれるんです。例えば魔法の出力を一定にしてくれるし、魔法の射程が少し伸びます。」
「でも、魔法の威力や軌道は事前に設定したものにしかならないんだよね。」
杖かぁ。でも補助器具あるなら使った方がいいかな・・・?
「武器屋で決めましょ。行くわよ。」
そう言われ武器屋に連れ込まれる。
種々の武器が整然と並べられており少しテンションが上がってしまう。
「これは?」
宝石のようなものが埋め込まれた指輪を見つけた。
「それは試作品だ。射程が伸びない代わりに魔力を使いやすくするだけの失敗作だよ。」
「これ欲しいっす。」
俺の理想の戦闘スタイル、その都度魔法を設定して陽動と攪乱をすることだ。事前に設定した魔法しか使えない杖より射程が伸びないけどその都度設定して魔力が使いやすくなるならこっちのほうがいい。
「銀貨二枚でいい。材料費だけだ。」
少し不愛想な爺さんに銀貨二枚を渡して訓練場に行く。
早速試そう。




