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第九話


 その後も殴られては出ていき、謝って戻るを繰り返していた。


 その度に色んな人を脅していたようで、私は本当に心身共に疲れていた。


 完全に私に依存していると思った。


 それと同時に本当に弱い人間なんだと思う事があった。


 それは、私が説得されて帰った時だった。


 部屋は真っ暗で、りゅうとは布団を被って震えていた。私は何事かと心配した。風邪でも引いたのかと駆け寄るとりゅうとは言った。


「心配してくれるの?」


 りゅうとの目は虚で歯をカチカチいわせていた。大丈夫なの?と聞くと、俺のスマホからありさって名前にかけてと頼まれた。


 は?と内心思いながらも電話帳からありさと言う名前を探す。


 あったけど、何て言ったらいいの?と聞くと、薬が切れた、持ってこいと言えと言われた。


 私が薬してるの?と聞くと、りゅうとが睨んできた。


 私は殴られると瞬間的に感じたが、りゅうとはキッチンに向かい何かを取った。


 それを持ち私の方に向かう。


 包丁を持っていたのだ。


 私はついに殺されるんだと思ったが、りゅうとをどうにか止めないとと必死で、りゅうとに抱きついた。


 りゅうとを強く抱きしめながら言った。


 やめてと。


 するとりゅうとは言った。


「早く出た方がいい、じゃないと本当に殺す」


 しかし、りゅうとの目からは涙が溢れていた。


 私は泣きながら家を飛び出した。

 そしてやまとに電話した。


 やまとに事情を話すと、私のあまりのテンパり具合にやまとはすぐ行くと言ってくれ、りゅうとが唯一逆らえない先輩を連れて来てくれた。


 やまとに今日は帰った方がいと言われ、心配だったが、帰る事にした。


 翌日りゅうとから連絡があり、昨日の事は覚えていないようでやまとから聞いたと。

 ごめんと謝ってきた。


 そして帰って来てほしいと。


 何度このやり取りを繰り返すんだろうと思いながらも、りゅうとの事を放ってはおけなかった。

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