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第二十四話


 翌朝起きると、竜也くんは昨日の事を覚えていなかったようで、頭が痛いと言っていた。


「大丈夫?竜也くんがお酒飲むとは珍しいね」


「俺も付き合いがあるからね」


「そうなんだ、大変だね」


「お水くれる?」


「うん」


 私は昨日の事を思い出してまた耐えれなくなっていた。

  

 なんで私は竜也くんに直接言えないんだろう。言ったら殴られるから?


 そうだ、私はいつだって恐怖で支配されている。いつも顔色を伺って、自分は悪くないのに。


 いや、むしろ悪いのは自分だけなのかも。


 私はそんな考えをただ頭の中で行ったり来たりするばかりで現実には何も行動出来なくて。


 薬に頼らないと正気でいられなくて。

 

 薬に頼っても支離滅裂で。



「ママ?こうえんいきたいー」


「あっうん、行こうね」


「あおいと公園行ってくるね」


「うん、気をつけるんだよ」



 唯一私を現実に引き戻してくれる存在。


 竜也くんに愛されなくてもあおいさえ居ればいいかな。


 いっその事離婚してあおいと二人で暮らそうかな。


 私はそんな簡単な事さえ出来ない情けない親だ。自分だって母親が再婚するまでは二人で暮らしていたけど、父親の事なんか覚えていなかったし寂しい思いもしなかった。


 子供は意外と親が思うほど弱くないよね。


「あおい?ママすき?」


「ママすき!パパはもっとすき!」


「‥‥‥」


 どうするかな。

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