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第十七話


 竜也くんは私にバイトを辞めてほしいと言ってきた。


 立場が弱くなっていた私は言う事を聞くしかなかった。


 専業主婦になった私は、こうきとの事もあり携帯を没収され、毎日買い物に行く時が唯一の息抜きになっていた。


 結婚して半年が経とうとしていた時、私の妊娠が分かった。


 正直嬉しかった、私に希望が訪れた気がしていた。竜也くんも泣いて喜んでくれた。


 その顔を見た私はホッとした、竜也くんも父親になれば変わると思っていたからだ。


 私の妊娠をきっかけに携帯を返してくれた竜也くん、安心していたのだろう。


 それから私は食事に気を使ったり、出産の事を調べたりで毎日退屈しなかった。


 竜也くんもあれから手をあげることもなく、私の体を気遣ってくれたりとても優しかった。結婚してよかったって心から思っていた。


 初めての出産だった為、私は一ヶ月だけ里帰りする事になっていた。


 竜也くんも仕事でいない事が多いから、あの狭いアパートに帰る方がまだマシだと考えたからだ。


 母親も私が結婚して落ち着いたからか以前よりも優しくなった。というより、前までは私が迷惑ばかりかけていたせいで疲れていたんだと思う。


 あっという間に臨月を迎え、その日は竜也くんと外食をしていた。


 帰ってから妙にお腹が痛いような感じがした、最初は食あたりにでもなったのかと思っていた。


 しかし、どんどん痛みが強くなっていくので念の為電話して竜也くんの運転で病院に向かう。


 結局そのまま入院になり、翌朝には無事出産する事が出来た。


 看護婦さんからは安産だったと言われ嬉しかった。


 何より、子供は想像を遥かに超える可愛さだった。


 竜也くんも立ち会ってくれて、生まれた瞬間は三人で泣いてた。


 性別は聞かないでいた為、男の子と聞いた時は竜也くんはとても喜んでいた。


 私はどちらでも可愛かったと思う。


 約一週間の入院生活も終わり、竜也くんが迎えに来てくれて三人で家に帰った。


 私の母親も家まで来てくれて、その日は母親がうちに泊まってくれた。


 翌日母親の運転で実家に帰る私と子供。


 名前は決めていた。


 男の子でも女の子でも、あおい。


 初めての子育てに奮闘する日々を過ごしながら、私は家に居たら竜也くんの事まで気が回らなかったなと母親に感謝していた。


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