第十話
しかし、その後もりゅうとの暴力はなくなるはずもなく、些細な事で殴られていた。
私が、は?と言ったら偉そうだと殴り、戯れている時にりゅうとの顔に手が当たると、殴り、りゅうとの後輩と喋れば後輩が殴られ。
それに加え、私の前で堂々と薬の電話もするようになっていた。私は話を聞かないようにあえて知らんぷりをしていた。
いつのまにかりゅうととの生活は怯えるばかりで、友達とも遊べなくなっていた。
りゅうとがいない時はいつも留守番をしていて、車の音が聞こえると心臓がどきどきしていた。
帰ってきた時の機嫌がいい時はホッとするが、それもいつどのタイミングで悪くなるか分からない為、常に気を遣っていた。
そんな生活が半年ほど続いていたある日、事件は起きた。
りゅうとが傷害で捕まったのだ。
朝方りゅうとがシャワーをしている時、私は眠っていたが、いきなり知らない人がぞろぞろと入って来て、あれよあれよと言う間にりゅうとを連れて行ってしまった。
りゅうとは私に、どこも行かないでって言っていた。
しかし、りゅうとが帰ってくる事はなく、やまとが私に電話してきて、りゅうとくんが傷害で捕まったのはこれが初めてじゃなく何度も捕まっていたとの事。もうしばらくは出てこれないから留置所にいる間に私に面会に来てほしいと言っていたと言われた。
私は正直これで解放されると言う気持ちと、これからどこに帰ればいのかという不安と複雑だった。