表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

いやまぁ、その

作者: 孤独

「はぇ?」


お客様からのご申告が来る。

そいつがどーいうものかによって、お客様から性質の悪いクレーマーになるのか。2極化するものばかりかと思われるが



「いやだから、昨日の11時に不在票入れたって。ポスト見ました?」


ホントに極稀に、そーいう分類にならない。

それなんであんたがやってんの?みたいな、お客様対応というのがある。

荷物の不在票はご迷惑かもしれない。さらに迷惑に思うのが、不在票が入ったか入ってないか。そんな話もあるだろう。こーいう例はまずあり得ないんだけど


『私、差出人ですよ!!見てるわけないじゃないですか!!こうちゃん……あ、受取人が不在票が入ってないって!!』

「いや、なんで差出人あんたが申告してるんだよ……」


出してる人間が不在票の確認なんかできないだろ。

なんでこの人が?


◇        ◇


「先ほどから何を木下さんは話してるんですか?」

「なんか人生相談みたいな?ほら、例の2丁目11の、西田だ」

「あー、西田さんのお荷物ですか」

「その荷物を出してる、吉川きっかわさんとの電話だ」


荷物の配達をしていると、そこに住んでいる人の事が分かる。

だが、こーいう声をしていると、余計に分かってしまう事である。


『ご近所に内緒にしてください』


だったら、申告すんなよって


「でしたら、申告しないで再配依頼をするだけでいいじゃないか」


とんでもなく真っ当な回答をする、木下。

その例のお荷物の受取人。西田さんは、結構変わっている人……という分類ではなく、世間的に言うと可哀想な人かもしれない。


「事業に失敗して、離婚して二人の子供も妻にいって、一人ぼっちになって頭がおかしくなったのは……本人の責任じゃねぇか」


木下は別にこちらから訊いたわけじゃない。なんでこんな事をしてるの?って、電話対応をする以上、質問もそれは起こりうる。そして、本人の知らないところでその事情が明らかになるのはなー。


『ですけど、公ちゃんは……カウンセリングの方と私以外に話せないんです!』


自動音声で再配依頼ができるので、話すことはせず、音声の指示に従って再配依頼はできますから。


「そうか」


木下はその荷物を手に持ちながら、電話をしている。


「”ノーブラノーパン!Fカップ女子大生、おじさんをはめる、VOL4”を頼んでるのに?」

『ちょっ、中身言わないでください!エロDVDなんで!!公ちゃん、寂しがってるんで!!っていうか、なんで中身が分かるんですか!?』

「それ言われてもな。中身DVDって言ったら、ほとんどソレ系だから……。いや、タイトルはテキトーだぞ。即興で言っただけ。エロDVDなのは予想してただけ」


中身は知らない。というか、見なかったが正解だろうか。

吉川さん、こいつのために買ってきたのね。


「まー。そうねぇ……配達に伺いますけど。西田さんが出て来れないのならドアにこの、”ノーブラノーパン!Fカップ女子大生!おじさんをはめる、VOL4”のDVDを挟んでおきましょうか?」

『エロDVDって呼ぶだけで結構です!長い!!』

「ともかく、このエロDVD。本来、受領印が必要なんですよ?出してる吉川さん、分かりますよね?」

『そ、そうです』

「不在票が入ってないってご申告をされて、こーいうご心配はしませんけれども。窃盗の可能性も否定できないんですよ?以前と同じくです。私共も間違いなく、西田さんのドアポストに不在票の投函をしております。それがないって場合で、本命のお荷物をドアの前に置いてくれって……不用心もいいとこですよ。吉川さん、なんでそんなサービスを使ったんですか?」

『…………公ちゃんが、そー言うから』

「公ちゃん公ちゃんって。その肝心な公ちゃんは、ご病気かもしれませんけど。ご本人が、このご申告をするべきですよ。差出人が昨日の不在票が入ってないとか、ご申告されましてもね。配達側は苦笑いなんですよ」


受領印をもらう関係の場合。基本、受取人が在宅していて、家の扉を開けてくれないと無理です。せめて、インターフォン越しで、”玄関前に置いてくれ”などのご説明をしていただけると助かります。

配達員が勝手に行ってしまうと、処罰されるのは配達側なので、基本的には行いません。

木下が苦笑いしているのも、差出人があーだこーだ言ったところで


「その公ちゃんが、ちゃんと対応しないと、我々はマニュアルに沿って業務を行うだけです。差出人の都合もそりゃありますけど、事前にその都合を通しておいてください」

『はい……』

「たぶんですけどね。公ちゃんにとっては、あなただけに心を開けるから、こんなことをさせてるんだと思いますよ?言っちゃ悪いですけど、私達手練れの配達員は、居留守してるかしてないかの判断は結構できるんですよ。引き籠りなのはそもそも知ってるんです。周りに迷惑をかけてまで付き合うかどうかは判断させた方がいいですよ」

『………………』


説教が長くなったが、20時頃にこの荷物をドア前に置いて欲しいとのこと。公ちゃんはその時刻になったら、一瞬だけ外に出るという。

今は結構、良い意味で業務を監視されていまして。


配達員の現在位置とかを会社に送ってるんですよね。

それでこの時間にここにいるとか、分かるんですよ。(昔でもできたけど、結構アバウト)


ですので、不在票とか荷物が届いていないって場合。

その時刻にどの配達地域にいるのか、特定できたりするんです。配達時間とその位置が同じだった場合、十中八九、近隣なんですよね。ですから、その近隣に聞き込みなどの調査を行うんです。そーいう聞き込みや調査って、近所の噂に繋がりますから、……不用意にやるのはオススメしません。

明らかに悪戯イタズラでやっている場合、ホントにやらない方がいいです。




誤配は今も多いかと思いますが、このような悪戯みたいな申告は大分減ったのと、こっち側で対処がしやすくなったのは有り難いんですけどね。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ