日常の謎
そう言ってアリスは語り始めた。
「ある男がコンビニで千円札を出してタバコ1個しか…」
「いや、ストップ」
「なんだい?」
「それって探偵モノの某少年漫画の一コマじゃないか!」
「なんだ知ってたのか」
「知ってたのかじゃないよ。それに千円札でタバコ1つ買うことは謎でもなんでもない行動だよ!」
そうなのだ。
その少年漫画ではちびっこの名探偵が活躍するのだけれど、日常のなんでも無いようなことまで"妙だな"といって疑ってしまうわけだが、それがことごとくあたって事件解決につながっていく。まぁ、そうしないと事件が始まらないから仕方ないのだけれど。
しかし、こういった現実感の欠ける話でも面白く読めてしまうというのは、漫画やアニメ・ゲームと言ったメディア特有かもしれない。そうした無茶な設定でも許容されるのは"そういう世界観"として読者に見られているわけで、大げさに見れば一種の特殊設定ミステリと言えなくもない気がする。"ライトミステリ"なんて呼ばれたりすることもあるらしい。良い意味で使われることもあれば、悪い意味で使われることもあるけれど。
「仕方ない。そうしたらこんな謎はどうだい?」