9話 謎の助け人
ドガァアアアァアアァァン!!!
大きな音が鳴り響き、車が爆発する。
間一髪、血が滴る足を引きずってそばの車へ入り、爆発から身を守る。
もう無理だ。ここで死ぬ。敵が強すぎる!
「アァァアアアアァァァァアァァァ!!!」
そいつは気持ちの悪い不気味な鳴き声を響かせてこちらに向かってくる。
早く逃げなければ。早く!
エンジン起動ボタンを押してもかからない。
ブゥウウウウウウンッッッッッ
ブゥウウウウウウンッッッッッ
早くかかれ!早く!
バリィィィィィンッッ
「うわああああああああ!!!!!」
バケモノの腕が窓を突き破り、皮膚を貫く。
「があああああぁあああぁ!!」
肩を貫かれ、串刺しにされる。
その衝撃で車体の外へ投げ飛ばされ、血まみれの俺は死を悟った。
もう無理だ。死ぬしかない。
バケモノの腕が車を貫き、そのまま持ち上げられ、道路で転がっている俺にそれを振り落とそうとする。
人間ミンチの出来上がりだな。美味しく食えよトゲ野郎。
「アアアアアアアアアァァアア!!!」
バケモノに穴だらけにされ、グチャグチャになった車が俺の頭上ヘ振り落とされる瞬間、、、
ズドンッ
何かがそいつの頭に命中し、一瞬、バケモノの動きが止まる。
「早く逃げろ!」
歩道橋の上からそう叫ぶ何者かがバケモノの注意をそらし、こちらへ向かってくる。
俺を殺そうとしていたバケモノは僅かに寿命の伸びた俺を後回しにし、邪魔をしてきたもう一人の獲物へ意識を向ける。
「うおぉおらあァァァァァあ!!!」
走ってこちらへ向かってくる何者かはそばに乗り捨てられた車のドアを信じられない力で取り外し、そのバケモノヘぶん投げた!
ブンッ
バケモノもこちらに向かってくる獲物に向けて、俺に落とすはずだった車を投げ、攻撃する。
ズドンッッッッッッンンンンン!!!
車はその人が投げたドアに衝突し、回転しながら道路を転がっていく。
その人は人間離れした脚力でその車を避けたあと、身につけていた鉄パイプでバケモノをぶん殴った!!!
ガアァァァァァンッッッ
あの3メートル級のバケモノが殴られた衝撃で後ろへ飛んでいく。
「大丈夫?」
そう言い、こちらに目を向けるその人は小柄でかわいい女の子だった。