6話 見つかってしまった!
ようやく日が昇った。十分に体を休ませ、ついに食料調達決行の時を迎えた。ジャージを装備し、分解した物干し竿を武器にしてリュックを背負い、自転車に乗る。
計画はバッチリだ。まずは巨大なモンスターに見つからないよう、なるべく狭い路地を通り、スーパーへ向かう。その後、食料を探したらすぐ近くにあるホームセンターで武器も調達する。できれば固くて振り切れるもの。
ひと通り調達できれば念の為、帰りにコンビニも探して使えるものがあればもらっていこう。
途中でモンスターに囲まれたり遭遇したら、設定した目覚ましやタイムストップウォッチを投げて注意をそらすか、刃物か何かの武器で傷をつけた隙に逃げればいい。まあ、遭遇した時点で逃げ切れる確率は限りなく低いんだけど。
見つかればゲームオーバーだと思え!慎重に進むんだ!
さっそくモンスターがいないか確認して、走り始める。
前に遭遇したドラゴンは路地裏には侵入できなかった。それでも撒くのにだいぶ苦労したから、次は日の当たる開けた場所にはなるべく出ないようにしなきゃな。
すぐ横を羽と角の生えた茶色いキリンが通り過ぎ、またある時にはゴリラとシマウマが合体したような混合生物が走り去っていった。
色んなやつがいるんだな。もしかしたら襲ってこないおとなしいやつもいるのかな?
そんなことを考えながら、目的地までもうすぐというところで、重大な失態を犯してしまった。
見つかってしまったのだ!しかもかなり強そうな全身トゲだらけのやつに。
どうする?戦うか?いや、まずは逃げるべきだ!
急いで回れ右をしてひたすらペダルを漕ぎ続ける。遭遇したときは狭い入り組んだ場所ヘ誘い込み、自転車の操縦技術でハンドルを巧みに動かし撒けばいい。ドラゴンのときのように。
しかし、スーパーの周りには入り組んだ場所がなく、隠れる場所も狭い路地も見当たらなかった。