3話 安全な場所はどこ?
走って走って走って・・・・・
なるべく開けた場所ヘ出ないよう入り組んだ路地裏ばかりを走り続け、ようやく得体のしれない大きなバケモノが姿を見せなくなった。自分がどこへいるのか、あのバケモノは何なのか、そんなことはどうでもいいほど今、生きていることに喜びを感じていた。
あぁ、生きてるって気持ちいいんだな。
薄暗い路地裏から見える青い空。その美しさに感動する。
・・・・・さて、どうする?ここが現実じゃないことはわかっている。異世界か何かに紛れ込んだんだろう。帰る方法を考えなければ。
いや、そもそもここは異世界なのか?あのバケモノが異世界から来たのでは?だとしたら早く大人がいる安全な場所ヘ避難しなければ。
生き残るにはどうすればいいか、どこへ向かえばいいか、生存確率を上げるために取るべき行動をフル回転させて考えた結果、とりあえず身を隠しつつ、警察署へ向かうことにした。
スマホは繋がらない、この世界が元の世界を基準に作られているのなら地形はそのまま、もしかしたら大人が守ってくれるかも。
そんな希望にすがり、なるべく目立たないよう狭い場所を歩いて警察署へ向かう。
しばらく歩いた頃、自分の中で下した決断に不安と焦りを感じていた。
本当にこれでいいのか?そもそも人はいるのか?やけに静かだな。自分以外の人間はどこかへ消えたように不気味な
ほど静かな世界。歩けば歩くほど不安は膨らみ、人が恋しくなってくる。
はやく人に会いたい、誰かに助けを求めたい。
そんな焦りから、歩く足も速くなる。早く答えを知りたい。誰かに会いたい!
ようやく警察署の前にたどり着いたとき、目の前にいたのは銃を持った守ってくれそうな大人ではなく、誰もいない寂れた警察署の前でどくろを巻いた超巨大ムカデだった。