2話 ドラゴンから逃げろ!
ドガァァァァァン!!!!!!
「ギャアアアアアアアアア!!!!!」
何だこれ?夢じゃないよな?いやあり得ないでしょ・・・・
ドラゴン?のようなよくわからない姿をした恐ろしいバケモノ。明らかにこの世のものではない異色なオーラを放つそいつは刺々しい牙が敷き詰められた口の中で三枚舌をチリチリさせ、こちらを伺っている。
と、とにかく逃げないと・・・・
しかし、得体のしれない巨大な生物を目の当たりにしたら、そりゃあもう動けない。だって・・・
怖すぎるだろ!!!!!
黒紫のバケモノが雄叫びをあげた。
「グギャアァアアアアアアアアアアア!!!!」
走れ!!!!!!
死ぬ死ぬ死ぬっ!ヤバいヤバいヤバい!
鼓膜が破れる咆哮で死を悟った俺はとっさに自転車のペダルを踏み、バケモノに背を向け、その場から離れようとした。
早く逃げないと!!!
このとき初めてペダルの重さを痛感した。自転車ってこんなに重いんだな。
後ろから迫ってくる死の気配に振り向く勇気もなく、涙が溢れながらもペダルを漕ぎ続けた。
「はぁはぁはぁッッッ!!!あああぁァァァァあああ!!!」
「グギャアアアアアアアアアッッッ!!!」
嫌だ、死にたくないッ、やだッッッッうあああぁあああぁあああぁあああぁあああぁあああぁ!!!!!!!
確実に迫ってくる足音とおぞましい死の鼻息が首筋にかかる一瞬、小さな小さな狭い抜け道が視界に入る。
ここだっっっッッッ!!!
キィィィィィッッッ
急ハンドルで狭い路地へと突っ込む。その瞬間、視界の半分は黒く染まり、巨大なものがこちらを飲み込もうとしている光景が映った。
地獄への入口。そこへ吸い込まれる僅か一瞬早く、薄暗い路地裏ヘ飛び込んだ。