舞台は終焉に……
モニタールームが位置する階まで階段で昇りつめる。
昇りきった先には正面にひときわ目立つ扉があり、そこへ至るまでの白い廊下は30mほど続いている。床面、壁面、天井との継ぎ目が見えないぐらいまで、ひどく白で塗りつぶされ、普段であればモダン的好印象を与えるのだろうが、灯りがところどころなく陰りが生じ、進むのにためらいを感じる。
さらに、この棟に潜ってからも棟内放送を使ってのクラシック音楽が絶えず流れており、相まって異質な空間を作り上げている。
緊張感が高まり、銃を構えつつ扉に忍び寄る。そして、扉そばの壁に背を合わせ一呼吸置く。
……扉の先には人質がいる。それだけならば苦労はしないが、武装している兵士もいることは間違いないだろう。突入に閃光弾、煙幕……、どれがこの場に適したものか。
過去の経験で敵地を潜り抜ける際に使用した煙幕で、一人の兵士が錯乱したのか、あたり構わず銃を乱射する事態が起こった。……結果、あたりは大参事だった。
――これだけは避けなければならない。
――となれば。
ハンドガンを肩のラインに持ってこさせ、横目でそれを見やる。
――分が悪い。乱戦になれば、確実にこちらが終わる。支給された麻酔銃では他の拳銃よりかは連射性が劣るうえ、着弾箇所によっても昏睡に至らせるのに時間がかかる。
深呼吸し、意を決する。
ドアハンドルを握り、扉に対し姿勢を低くしたうえで、正面からやや外した前方右側に転がるような形で勢いよく室内に侵入する。
転がる視線のなかであたり左方、正面を見回すが視界には誰も映らず、内心舌打ちしながら右方に銃を構える。
――いないっ。人質も……、あろうことか敵兵さえも。
あたりを見回す中、半開きしている扉を見つける。
――逃げたのか。
「モニタールームからはあなたが入ってきた出入口以外にもう一か所、上の階へ続く扉があるわ。……半開きしている扉を見る限り、おそらくそこから上に移動したんじゃないかしら」
「――ほかに手掛かりがない以上、先に進むしかないが……。罠を仕掛けている可能性もある。慎重に進んでくれ」
「モニタールームから繋がる上の階は、施設内を見下ろせるビューポイントになっているわ。壁四面のうち三面がガラス張りした部屋になっていて、室内からはあたりを見回せても外部から室内が見えない構造になっているわ。当初の計画では重役が座るスペースとして確保されたのだけど、途中でレイアウトの変更があって、いまではただの空室になっているはずよ」
……無線機に耳を傾けるも、やはり進むしかなさそうだ。




