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ウリとの出会い

ウリと初めて出会ったのは、僕が学校に通いだしてから1年ぐらい経った時だった。


昼休みに、僕はいつも通り校庭の隅の方で、極力目立たないように1人過ごしていた。


その時ふと校庭の方を見ると、少し離れたところで人が争っているような感じがあった。


どうやら、誰かが4人の生徒に囲まれて一方的に殴ったり蹴ったりされているみたいだった。

そして、4人が立ち去った後には、1人の生徒が仰向けに寝転んで顔面から血を流して倒れていた。


それがウリだった。


僕はあまり関わり合いになりたくなかったけれど、さすがに心配になってそばまで近寄ってみた。


ウリは仰向けのまま、空を見つめていた。

あれだけ殴られているのにも関わらず、ウリは表情1つ変えてはいなかった。


「大丈夫かい…?」


僕は恐る恐る声をかけた。

でも、ウリはそれからも空を見つめ続けたまま、身じろぎ1つしなかった。


しばらくして、突然ウリが小さな声で呟いた。


「あいつらはただ怖いだけなんだ。」


不思議な声だった。小さな声のはずなのに、なぜか耳の奥の方まで響いた。

僕は黙ったままウリを見つめていた。


「魔物がどういうものなのか知りもしないで、ただ怯えているだけだ。」


「…君も魔物が怖いかい?」

今度は僕の目を見ながら、ウリはそう聞いてきた。僕は知らぬ間にウリのすぐ側まで来ていた。


「僕は……、僕には…良く分からない。」


ウリからの突然の問いに僕はとまどった。僕は魔物の事についてほとんど何も知らなかったのだ。


ウリの瞳を見ていると、どこまでも深く吸い込まれていくような気がした。


「でも…、魔物についてもっと知りたいような気はする。」


ウリは僕の目をしばらくジッと見つめていた。

やがて、目を閉じたかと思うとおもむろにスッと立ち上がり、服の土埃りを払い顔の血をハンカチで拭った。


それから場の方を見てまた話し掛けてきた。

「君、いつも1人でいるよね?」

「…うん。」


「友達とかいないの?」

「…うん。」

「そうか……、俺もいない。」


ウリはその時初めて少しだけ微笑んだ。僕はその微笑みを今でもなぜか覚えている。


「帰りに家に寄って行かないかい?」

「えっ…いいの?」

「魔物の事について教えてあげるよ。」


僕はその日ウリの家に行った。

ウリは魔物に関する事について色々と話をしてくれた。


そこで初めて知ったのは、魔物狩猟者という職業が世間ではかなり疎まれている存在であるということだった。


そして、その原因の1つが魔食にあるということを聞かされた時、僕の心臓は音が聞こえるほどドキリとした。


「生きたままの魔物を食べるとどうなるか分かるかい?」


そうウリから聞かれ、僕は検討もつかず、正直に分からないと答えた。


「そう、正解。」

「えっっ、正解?」

「そう、何が起こるか分からないんだ。」


ウリの話によると、人が生きたままの魔物を食べた場合、魔物に含まれる魔素と人間の染色体とが反応して、人体に様々な変化が起こるという事だった。


ただ、どのように人体が変化するのかは人によって違っていて、未だ研究の途上にあるらしかった。


「魔物がこの世界に出現し始めてから、しばらくの間は誰も魔食をすることなんてなかったんだ。」


「いや、というか魔食をしてしまった人間は身体に入った魔素に耐えられず、みんな死んでしまった。」


「でも、ある日を境にそれに耐えられる人間が出現し始めた。」


「世界のあらゆる場所でそれは起きたんだ。」


話を進めるごとに、ウリの声は熱を帯び、その顔はどんどんと険しくなっていった。


まるで何か、耐えられないものを吐き出しているかのように。

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