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魔草狩猟の最期の夜に

飛空船の中から巨大なトラックが降りてきて、僕らの方へとやってきた。


「お疲れっす。すいやせん、遅くなりやした。まぁ、時間もないんで早速魔草を積みやすか?」


窓から顔を出したのは、まだ若い女の人だった。

綺麗な顔をしているのに、あまりに言葉遣いが変なので、僕はなんとも言えない変な気持ちになった。


「そうじゃのう、日が暮れんうちに積み込んでしまおうかのう。」


僕らは魔草をトラックに積み込み、それが一杯になったら、女の人が飛行船の中に積み下ろしに行った。


それを何回ほど繰り返しただろうか?

日が沈み始めようとする頃、ようやく全ての魔草を飛行船へと積み終えることができた。


「これで終わりじゃな。ご苦労じゃった。運賃はいくらになるかのう?」

「今回は結構重量がかさみやしたからね。150万ほどいただきやしょうか。」

「そうか、以外に安かったのう。ふぉっふおっふぉっ。」

「サービスしときやした。へっへっへっ。」


僕にはその運賃が高いのか安いのかよく分からなかったが、少なくとも僕にとって150万はかなりの額だった。それを安かったと言っている老人に僕はビックリした。


「じゃあ、あっしはこれで。」


そう言って女の人は飛空船に乗り込み行ってしまった。


「さぁ、わしらも山小屋に行くかのう。今日はもう日が暮れそうだからのう。」

「一泊して帰るのね。」と少女が言った。

「そうじゃ。」と老人が言った。


それを聞いて僕は少しほっとした。

今から山を降りなければならないとしたらと考えると、かなりゾッとしたからだ。


それから、僕らは山小屋へと向かった。

そして風呂へと入り、夕食をとった。今日の夕食はこの1週間の中で1番豪勢なものだった。


「1週間ご苦労じゃったな。腹一杯食うのじゃ、遠慮はいらんぞい。」

「はい、いただきます。」


肉、魚、スープ、パン、スパゲティ、炒飯、デザート。


今日は昼ごはんも食べず作業していたので、僕はテーブルの上のものを全て平らげようとするかのような勢いで食べ続けた。


老人は酒を呑んでいて、料理には少し口をつける程度だった。

少女はパスタとデザートを食べた後、コーヒーを飲んだ。


僕は腹一杯になるまで食べ続けたが、テーブルの上の料理は、まだ半分も減ってはいなかった。


「ちょっと作り過ぎちゃいましたね…。残ってた食材を全部使い切ろうと思っちゃったから。」

「ふぉっふおっふぉっ、まぁ良いではないか。明日持って帰ろうかのう。」


それから、老人は酒、僕と少女はコーヒーを飲みながらゆっくりとしていた。少し離れた場所からはラジオが聴こえていた。


だいぶ時間がたった後、老人が僕に話し掛けてきた。


「そう言えば聞いてなかったのう。お主はなぜ魔物狩猟者の助手をやろうと思うたのじゃ?」


今さらか、と思いつつも僕は質問に答えた。


「えぇっと、僕は…魔物狩猟者を目指していまして、…それで学校に行って免許試験を受けていたんですが…、なかなか受からず…。」


「それで今年も落ちまして、学校も卒業だしこれからどうしようかと思ってましたら、たまたま助手募集の張り紙を見まして…、それが理由です。」


「ほう、そうか。魔物狩猟者を目指しているのじゃな。して、なぜ魔物狩猟者になりたいのかのう?」


そう老人から聞かれたとき、僕の頭の中で何かがフラッシュバックしそうになった。

でもいつもと同じように、僕にはその記憶を捉えることができなかった。


「それは…なりたいからです。理由は自分でも良く分かりません。」


僕はそう答えることしかできなかった。


「そうか…理由はよく分からんとな。…しかし大変な仕事じゃぞ?今回はまだ楽な方じゃ。」


老人は僕の瞳をじっと見つめていた。


僕はこの1週間のことを思い出してみた。確かに大変な仕事だと思った。

ただ、魔物狩猟者を諦めようという気持ちは少しも起こらなかった。


「どうしてもなりたいんです。」


僕は老人の目を見つめながら、ハッキリとそう言った。


「なぁ、お主。わしの弟子にならんか?」


「えっ?」


「お主には資質がある。ただ、今のまま普通に過ごしていては、その辺の三流の魔物狩猟者になることしかできんじゃろう。」


「僕に資質が…?」


試験に受かることすらできていないのに、僕に資質があるなんて、なんだか不思議な気分になった。


「わしももう歳じゃ、死んでしまう前に今まで培ってきた魔物狩猟の技術を誰かに伝えておきたくてのう。」


「僕で良いのですか…。まだ、免許も持っていませんが…。」


「構わん、お主には資質がある。免許などは気にするほどのことではない。」


それを聞いて、僕の中の迷いもなくなった。


「わかりました。ぜひ弟子にして下さい。お願いします。」


「よし、では今からお前はわしの弟子じゃ。これからわしのことはお師匠と呼ぶのじゃ。」


「はい、お師匠。よろしくお願いします。」


このようにして、僕の魔物狩猟者としての修行が始まったのだった。


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