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遠くの空から

気がつくと僕はベッドの上に横になっていた。起き上がろうとしたが、身体が重く動くことができなかった。


「大丈夫ですか?」


隣から、少女の声がした。


「急に倒れるものですから、ビックリしました。」


「最近の若いのは情けないのう。鍛え方が足らんのじゃろう。ふぉっふおっふぉっ。」


遠くの方から老人の愉快そうな声が聞こえてきた。


「…すいません……。」


僕は、か細い声でそう言うのが精一杯だった。


「まぁ、今日は休むがええ。明日からまたしっかり働いてもらわんといけんからな。ふぉっふおっふぉっ。」


そう言って、老人はまた愉快そうに笑った。


「ざらめ、薬湯を持ってくるのじゃ」


どうやら「ざらめ」というのが、少女の名前のようだった。


僕は何とか身体の力を振り絞って起き上がり、部屋を見渡してみた。


老人は少し離れた場所でイスに座り、干し肉のようなものを食べながら、すでに一杯ひっかけているようだった。


少女はその奥の流し台の方でヤカンに入ったお湯のようなものを湯飲みに注いでいた。


やがて少女は、その湯飲みを僕の方へと持ってきた。


「さぁどうぞ、これを飲んで下さい。」


僕は少女に言われるままその薬湯を飲んだ。薬のような香りがしたが、味は甘く思ったよりも飲みやすかった。


僕はやけどしないように、それを少しずつ口に含んでは、喉へと流し込んだ。


「魔草を煎じたものです。少し毒にもあたられているみたいなので。」

「…ありがとうございます。あの…、ここはどこなんでしょうか?」

「ここは魔草採りの時にいつも使う山小屋です。ここで一週間ほど寝泊まりしながら、魔草を採るんです。」

「あぁ、そうなんですね…。」


僕はまた山小屋の中を見渡してみた。ここには食料やら生活用品などあらかたのものが揃っているように見えた。


「結構長いことやるんですね。」

「えぇ、今日はゆっくり休んで下さい。先はまだ長いですから。」


僕はそれからまた横になって、静かに目を閉じた。そうしていると、すぐに眠りが僕の体を包み込んでいった。


それから1週間、僕らは魔草を採り続けた。

初めのほうは老人や少女の1割ぐらいのスピードでしか採ることができなかったが、最後の日には8割ぐらいのスピードで採ることができるようになっていた。


「これで最後じゃな」


老人はそう言って最後の魔草を抜き取った。

僕はこの1週間で採ってきた魔草を見渡しながら、何とも言えない達成感に包まれていた。


「よく頑張ったのう。だいぶ感覚も掴めてきたようじゃしな」

「はい、ありがとうございます。」


ただ、僕には1つ気になることがあった。この膨大な量の魔草をどうやって運ぶのだろうか?


「あの〜、この魔草…いったいどうやって運ぶんですか?」と僕は聞いた。


「もうすぐ来ると思うんじゃがのう。」


老人は遠くの空を見つめながらそう言った。僕も老人と同じように空を見つめた。


しばらくすると、その方向から何かが近づいてくるのが見えた。


「飛空船だ!」


僕はおもわず叫んでしまった。


「ようやく来たようじゃな。」


やがて大きな飛空船は僕らの頭上を通過して、ここから少し離れた場所に静かに着陸した。

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