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魔物狩猟者になれるかな。

今年の魔物狩猟免許試験が終わり、僕は友達のウリとハンバーガー屋で遅めの昼食をとっていた。


「ハァーァ、今回もダメなのかなぁ」

「えっ? 何の話?」

「試験だよっ!魔物狩猟試験!」

「あぁ、試験の話ね…」


友達は去年の試験ですでに合格していた。

僕も去年の試験で筆記と実技の試験はかなりいい感じだった。

ただ、適正試験が悪かったのか、不合格となってしまった。


「やっぱり、適正試験がダメなのかなぁ…?」

「どうなんだろうねぇ…、どういう基準で決めているのか良くわからないからねぇ…」

「だろっ!? だいたい魔物狩猟の適正ってなんなんだよ!?俺の性格がひどいってことなのかなぁ?」

「うーん…、性格ねぇ…。」


僕らはひとしきり話をした後、店を出てウリの家へと行った。ウリの家は代々ハンターで生計を立てている家系で、家の大きな倉庫の中には狩猟用の道具がたくさん置いてあった。僕らはそれを遊び道具にして、子供の頃からよく暇を潰していた。

道具は子供の頃は何に使うのかよく分からないものばかりだったが、今ならいくつか使い道が分かるものもある。

ただ、ハンター個人で考えられているものがほとんどで、未だにどう使うのか分からないものの方が多かった。

「この縄…小さな突起がたくさんついてるけど、一体何に使うんだろう?ウリ、知ってるか?」

「それは…多分、ぬめりマタンゴを縛ってまとめとく時に使うものだろ」

「ぬめりマタンゴ…?」

「マタンゴの一種で名前どおりヌメヌメしたやつだよ。」


この世界に生息している魔物は本当にさまざまなタイプがいて、学校では習ったけれどそれはまだほんの一部だった。だからぬめりマタンゴという魔物がいるなんて、全く知らなかった。僕はぬめりマタンゴの姿を想像してみたけれど、あんまりうまくいかなかった。


「ぬめりマタンゴを見たことあるの?」

「ある…。すごくぬめぬめした大きなキノコだった。どこか虚ろな目をして、遠くの方を見ていた。」

「なんだか変な魔物だね…」

「うん…、でもぬめりマタンゴは結構いい値段で売れるらしいよ。なんでも、ぬめりに希少な成分が含まれてるみたい。」

「ふーん、そうなんだ。」


これから僕らは2人とも恐らく魔物狩猟者という職業につくだろう。それは、それほど遠くない未来の話だ。その時僕らは、どんな魔物達と対峙しているのだろうか?

僕はそんな少し先の世界を想像してみた。だけど、あんまりうまくはいかなかった…。

ひとしきりウリの家の倉庫で暇を潰した後、もう遅くなってしまっていたので、僕らはそれぞれ家に帰った。


魔物狩猟免許試験からひと月後、僕は学校にいた。

免許試験の結果が出たので、それを確認しに来たのだ。もう僕らの学年は卒業を控えていて、まだ単位が必要な生徒には授業を開いていたが、教室にいる生徒はまばらだった。担任の先生は今日は昼からの出勤で、僕はそれを確認せずに来てしまい、先生が来るまで特にすることもないので授業を受けながら時間を潰していた。

授業の内容は魔物と魔物狩猟の歴史についてだった。


「123年前に南極と魔界との間に洞穴トンネルが出現しました。それからこの地球に魔物が出現し始めました。魔物は魔界からやってきたとも言われていますし、また魔界から流れ込んでくる魔素の影響で地球の生物が魔物化していったとも言われています。」

「魔物の狩猟は魔物が出現してから2年ほどたった頃から記録としては残されていて、世界で最初に魔物が捕らえられたのはオーストラリア南部のフルリオ半島だと言われています。」


歴史の先生は淡々と説明を続けていた。僕はそれを聞きながらぼんやりとこれからのことを考えていた。実はまだ就職先が決まっていなかったのだ。(もし今日の試験結果がダメだったら、アルバイトでもしながら次の試験を受けるしかないなぁ…。)


授業が終わり、僕は職員室へと行ってみた。担任の先生はもう来ているみたいだった。僕は一呼吸整えてから、試験の結果を聞きにいった。


「タカラ先生、この間の試験の結果ってもう出てますよねぇ…?」

「あぁ、出てるよ〜。」

「どうでした…?」

「ん〜、なんだな。人間、必ず努力すれば報われると先生は思うんだな…。だから…まぁまた次頑張れば…」

「そ…ですかぁ…ダメだったんですね…。」

「ん〜、なんだな。ダメとかいうことではないぞ。今回も実技と筆記はかなりいいとこいってたみたいだしな。まぁ…なんでか適性試験がなぁ…。こればっかりは対策の打ちようがないからなぁ…。」

「はぁ…。まぁ…そうですよねぇ…。」


僕はがっつり落ち込んでしまった。先生はそれからもずいぶん励ましてくれたけれど、僕の気持ちはどんよりと沈んだままだった。僕は重たい体を引きずるように家へと帰り、そのまま崩れ落ちるように眠りについた。

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