俺は能力を開花してしまったらしい
人間には能力がある。ありえない、出来ないと言われてたことは嘘に近い。例えば空を飛ぶこと。物を浮かせること。これらは普通に出来る事だったのだ。
恐らく科学者や物理学者達はこれを否定するだろう。科学的根拠が無いと。
学校で習う理科の内容は昔の人の作り話だ。その作り話を信じてしまって幽霊の話を出すと「そんなのありえない」って言う。それはその作り話の中に幽霊の話は一切無いからだ。
もちろんその中にも一切人の能力の話もない。
しかし私は思う。
必ず能力者が現れる。
この論文を発表した人はただの作家。予言みたいなことをしたから占い師か?って思わせてただの作家。
しかし今の日本は面白い国だ。この論文をマスコミがバカに取り上げて、その結果人々は能力が使えるか試すことが日課の1つとなった。今年の流行語大賞は決定だな。
ちなみにその人曰く、何か物を持ってないと能力が開花しないみたい。対象がこの世にあるもの全て。それと一致するなんてどんな確率やら。恐らく宝くじ一等当てる方が簡単だよ。
御嵩路ゆうきは俺の名前。部屋の壁にアニメポスターを沢山貼っている高校生。ちなみにそのおかげで元々の壁は1mmも見えない。
今回のニュースは興味がないほう。確かにアニメ好きの自分としては憧れる事だ。でも自分は学校で友達とバカやって過ごす。そんな日常でも十分満足している。
「...タ、mタ、おい!ミタ!」
友人に声を掛けられ我らに返る。
「な、お、お前か」
「何回も呼んだのに無視しやがって〜また考え事?」
「ああ、くだらないことな」
声を掛けた友人は面立 人。みんなジンと呼んでいる。彼もアニメ好きでよく色んなところで色んなアニメの話をする仲だ。彼の名字はもともと別の名前だったらしいけど訳あって今はこんな名前だ。決して家がラーメン屋という訳ではない。
「ていうかそろそろミタと言うのやめてくれない?」
「なんで?」
「いやいや、某ドラマで出てくるあの方と同じ呼び方だよ?社会的に殺されるぞ!」
「まぁまあそれは置いといて」
「いや、置くなよ。」
「くだらないことってどうせお前の事だ。今話題の超能力の事だろ?」
「その通りだ。」
彼とはそう長い付き合いがあるわけではない。しかし彼は俺の考えていることを9割の確率で当てる。ちなみに俺はというと1割満たすか満たさないか。なんか悔しい。
「いいよな超能力。俺も使えたらいいな」
一昨日か?その前か?俺は彼に尋ねた。そしたら彼は面白いとの一言。自分は彼に真反対の意見とは言ってないが、恐らくその事も見抜かれている。
「試せばイイじゃん。」
「ミタ君。僕が何もしないで羨ましがるとでも思いますか?色々やってみたよ。バット使ったり枕使ったり呪文唱えたり神社に礼拝したり。」
「なんか後半おかしくね?」
「百回か?千回か?それともそれ以上か?これだけやっても能力だと思われる現象は何にも起きない。やっぱダメなんだよ。そうだ!ミタ、お前もやってみろよ!」
「はぁ?やる気ないし、どうせ出来ない。そもそも物はどうするんだよ?」
「別にこれでいいだろ。」
ジンが指さしたのは俺の好きなキャラ、『ゆみりん』のストラップだった。
「なぁ一生の願いだよ!この通り。」
ジンはお殿様に頭を下げるように土下座した。
お前の一生の願いをこんなところで使っていいのかよ。ていうかプライドという言葉を彼は知っているのだろうか。
「仕方ない。やってみるか。」
渋々俺はストラップをかばんから外した。
「で?どうすればいいの?」
「適当に念じればいいらしい。」
ホントにそんなのでいいのかよ?出来るはずがないだろ!
とりあえず念じる?念じるってどうやるっけ?何を念じればいいんだよ。
えーと…えーと…なんか出来ますように!
あまりにも適当過ぎる。そしてストラップを握ってみる。
何もなってないじゃないか。ただものすごい眩しいだけで...ん?眩しい?
今の時刻は午後7時になる前。大陽が出てるわけがない。
じゃあこの光は...何?
そう思ったとき、
「素晴らしい!実際に能力を使える方がいるとは!いやー素晴らしい!」
1人の男が俺らに近寄ってきた。
「あのぉ...どちら様ですか?」
こう質問したら男は名刺を差し出した。
「失礼、私はこういう者です。」
名刺には中央東研究所西日本部所南棟北管理所 所長 仙 博士と書かれてた。
うーん、誰?
俺こんな研究所と関わったことありましたっけ?
ていうか北か南か東か西かどれなんだよ、と勝手に心の中で突っ込む。
「まぁそんなのどうでもいいです。ところでさっきの光、一体どのような物を使って出したのですか?」
「えっと、これです。」
俺はゆみりんのストラップを仙さんに見せた。
「おーこれは立派なストラップ。もしかしたらもっと凄い光が出せるかも!えーっと…」
「ミタです。」
「ミタ君。今度はもっと凄い光を出そう!」
「と言われましも...」
「嫌なのかい?」
「別に嫌って訳ではないです。ただ住宅地で無意味に眩しい光を出しても迷惑じゃないですか?」
「それもそうだな…ん?」
仙さんが突然後ろを向いた。それに合わして目を追うと、なんと俺らと同じぐらいの女の子がひったくりに遭ってた。
なんか展開がいきなりすぎるような...気のせいか。
犯人は俺らに向かって走ってくる。女の子はパニックになっているのか、もう1つのバッグの中をあさっている。恐らく警察を呼ぼうとしている。かと言っても犯人は去ってしまう。
幸い今いるところは1本道。俺らを交わさないと逃げることは出来ない!これは止めるしかない。
でもどうすれば...
「ミタ君!あれを使うんだ!念じればきっと成功する!」
仙さんに言われて俺はすぐにゆみりんのストラップを握った。
そして、犯人の足止めを出来るようにと念じた。
その瞬間ストラップから白い光が出てきた。実際自分はその光を持っているが、熱いとも痛いとも感じない。
そしてさらに眩しさを増し光は犯人一直線に伸びていった。あまりにも凄い勢いなので眩しくて目を瞑ることさえ忘れてたしまった。
そして犯人に直撃。数センチ飛んだかと思ったらすぐ倒れてしまった。それと同時に光は消える。
な、なんだよこれ!
「凄いぞ!ミタ君!これで世界を救うことが出来るかもしれない!」
俺の頭はこの力のこと、早く警察を呼ばないけないこと、女の子のバッグを取り返さないといけないこと。どれもなかった。
じゃあ何を考えていたのかというと...
「犯人死んでないだろうな。」
余計な心配かもしれない。しかしあんな光を浴びたんだ。電気よりもビリビリ来たかもしれない。
犯人はまだ目を覚まさない。
「大丈夫かこれ?」
久しぶりの投稿です。
失踪してごめんなさい。