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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕と君とつまらない日常

作者: 鷹真

君は言った。

「つまらない」

「何が?」

「何もかも、全てが」

君はつまらなそうに、そう吐き捨てる。

単調な毎日。代わり映えのしない毎日。

学校へ来て、勉強したり、友達とおしゃべりしたり、それがつまらないと。

「刺激的な事、なんかないかなぁ」

溜息をつきながら、君は言った。

僕は考える。

――刺激的な事って、なんだろう?

僕には、君の言う『刺激的な事』が判らない。

それでも、考えた。君が言うから。君がつまらないと言うから。


その日は、いつもとは少し違っていた。

教室内では、そこかしこでソノコトについてで持ちきりだった。

ざわ。ざわ。

聞いたぁ~?

うん、さっき聞いたよぉ。マジ、ヤバイ。

マジなのかなぁ~。

マジっぽいよ。理科室、立ち入り禁止なってんじゃん。

ざわ。ざわ。

君は?君はどう思った?

「そんなに大騒ぎするほどでもないじゃん。つまんない。

カラスの死体が置いてあっただけでしょ」

アレでは刺激が足りない?

僕はまた考える。考える。

もっと刺激を・・・・・・。

次は切り刻んだカラスにした。

けれど、君の反応は変わらない。

次はもっと大きな動物。

その次はもっともっと・・・・・・。

僕は繰り返す。君がつまらなくなくなるまで。

ざわ。ざわ。

犯人誰よ。もう、悪戯じゃないよね。

酷い。動物が可哀相。

ざわ。ざわ。

周りの雑音なんてどうでもいい。

君は?君はつまらなくなくなった?

「くだらない。動物の首並べて、何が楽しいの?」

また僕は失敗したのか。

結構大変だったんだけどな。犬を捕まえて、首を切り落とすのって。

ほら、僕の腕に噛み付かれた痕が残っちゃった。

痛かったよ。10針も縫ったんだもの。

それに、続けるためには、僕が犯人だってバレたら駄目なんだよ?

それなのに、君ってば、ちっとも解ってくれないんだもの。

ざわ。ざわ。

ざわ。ざわ。

ああ、うるさい。雑音。

君の声が聞こえないじゃないか。

ああ、ああ、うるさい。うるさい。

消えろ。


ねぇ、君。

犬より大変だったよ。

結構、力入れないとね、切れないの。

切っている時は、一生懸命だったから判らなかったけど、駄目だね。

綺麗に切れなくて、ちょっとグチャグチャになっちゃった。

どうしようかな。こんなに汚いのは、君に見せる価値もないかな。

首は汚過ぎるから、手でいいかな?

何箇所か練習して、一番綺麗に切れたと思うんだよね。

失敗した所は、どうしようかな?

うーん、邪魔だから焼却炉へ捨てちゃおう。汚いしね。

ああ、楽しみだな。早く明日にならないかな。


正門が封鎖されて、生徒たちが返される。

折角、教室に置いたのに、入れないんじゃ君に見せられない。

ざわ。ざわ。

今度は何?

切られた手首が置いてあったんだって。

え!人の?バラバラ?

きゃー、殺人事件じゃん!

ねぇ、ねぇ、エミ見なかった?

えー、知らなーーい。来てないんじゃん?

ざわ。ざわ。

ねぇ、君。

今度は、間違ってないよね?つまんなくないよね?

「ふーん。マネキンの手とかなんじゃないの?」

やっぱり、手なんかじゃ駄目だったんだ・・・。

ごめんね。僕が綺麗に切れなかったから。失敗しちゃったから。

ごめんね。ちゃんと、もっと練習するよ。

もっと、もっと練習して、綺麗に切れるようにならなきゃね。

それまで、待っててくれる?ほんのちょっとの間だよ。

此間もね、首は失敗しちゃったけど、両足と手を順に切ってる間に少しコツを掴んだんだ。

だから、ほんのちょっと待っててね。


僕、頑張ったよ。いっぱい練習した。

納得がいくまで、何人も。何人も。

気が付いたんだ、大人だと、固すぎて切りづらい。

でも、小さい子でも、やわらか過ぎて、綺麗に切れないんだよね。

そう、その間。ちょうど、僕たちぐらいが一番、一番綺麗に切れるんだよ。

ああ、でもね。でも、素材探しが大変になっちゃったんだ。

この近隣の学校が全部、封鎖されちゃったじゃない?

みんな、家から出て来なくなっちゃってさ。

でも、安心して。

君の為ならば、僕はなんでもするよ。

だから、君の一番の親友のミキちゃんを素材にしても、怒らないでね。

すべては、君の為だから。

ほら、こんなに綺麗に切ってあげたんだもんね。怒らないよね?


ピンポーン。

宅配です。印鑑かサイン、お願いします。

「ん?なんだろ。あたし宛じゃん」

・・・・・・。

「いやあぁああああぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・」

ねぇ、君。

気に入ってくれた?

ねぇ、つまらなくなくなったでしょ?

ん?感動の涙?違う。

おかしいな、期待した反応と違うよ。君。

あ、そうか。ねぇ、君。

今度、僕の家に遊びにおいでよ。

僕ね、気づいちゃったんだ。

何が?って。

僕は君がとっても大好きだから、いつでも君と一緒にいたいんだ。

僕の願いと、君のつまらない日常をいっぺんに解決できる方法だよ。

だから、ねぇ、君。

僕の家に遊びにおいでよ。

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