◆ 某日某所
研究員1「テーストー!、次で2016体目となるのじゃー。
魔王様、おねがいしまのじゃー」
とある日本の研究室のモニタに移る 魔王様と呼ばれた彼は貴族風の衣装を纏った
黒髪20代くらいの優男だった。
大魔王、魔王の中でもまともな部類の魔王様だ
大体のことは三回くらいまでは許してくれるという仏さまのような魔王だが。
実際は仕事を増やしたくないだけだ
魔王「ハイハイ…、娘の為ですからねぇ 協力は惜しみませんが…
大変な苦行ですねぇ…。」
彼の背後には砕けたオモチャの山
そしてブラック勤務のサラリーマンよろしく
とても疲れてますよと言いたげに目にクマーが出ている
目が虚ろになりながらも、淡々と単純作業のようにオモチャに凶悪なストレートパンチをくわえている
刹那
オモチャは砕け散る
研究員2「ゴブゴブ 魔王さん研究への協力おつかれさまゴブ。」
研究員1「のーじゃのじゃ やっぱりあの子の作品も耐えることができなかったのじゃ」
ミネラルウォーターの入ったペットボトルを魔王に渡し 労いの言葉を述べた
魔王「ありがとう まぁ この前のドラゴン型と犬のほうが
まだマシでしたねぇ…」
研究員3「うぅ… 自信作だったのら… しくしく」
さっきのサンプルを作ったと思われる研究員その3がワザとらしくうなだれている
魔王「ご…ごめんなさい…」
気まずい。とても申し訳なさそうに感じた つい謝ってしまう
ずいぶんと腰が低い魔王様である
研究員3「… チラッ … … いえ… 仕事ですので… しかたないのら」
ラボに籠る研究員3 次こそはという熱意を感じさせてくれる後姿である 今後の活躍にご期待ください
彼女の後姿を頼もしく思い魔王はため息を吐きつつ呟く
魔王「HAHAHA … どうしてこうなったんでしたっけ…」
発端はあの日 あの時の罪悪感から始まった
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◆ ここは異世界の魔王城
多忙に尽きる魔王業で娘にかまってあげられない後ろめたさから始まったのだ…。
何か気を紛らわせてあげる物はないものか…。
愛娘にも問題があった 魔王の片鱗とでもいうのか 無意識の内に手から発生するエネルギーは 並みの物では耐えられず 灰のように壊してしまう
うちの娘マジぱない
結果
従者にさえ恐れられ 相手にできるのは高位の忠臣くらいだ
愛娘の力は 日に日に威力がましているという底知れなさまである
現在でも 愛娘に触られたくないと怯えている従者は多い
これはマズイ… 魔王は確信した
いつかは力のコントロールが出来るようになるだろう…
しかし、今ではない 5年 10年…あるいはもっとかもしれない その間 畏怖されながら過ごす愛娘…
精神への悪影響でストレスがマッハなのは確定的に明らか
キレる十代
愛娘への畏怖のあまり 暗殺されてしまうかもしれない
天然恐怖政治に対する暗殺
怖いものは消してしまえ理論だ
どうしよう… 本当にどうしよう…
このままでは私の寿命までストレスでマッハなんだが…
魔王はいてもたってもいられず プライドもかなぐり捨てて 女神に泣きついた
彼女は愛の女神ソフィア様
銀色であること以外はよくわからない そんな印象を持たせる女性
全身が輝き眩い 服を着てるのかさえ分からない
神々しいオーラとは対照的にとても気さくな御方であられる
小さいので華奢かもしれない
外界からやってきた神様…らしい
つまり御客神
女神はこの世界には旅行に来たそうで
神鳥に乗って世界を回っている
うちの愛娘が怖がられて 友達が出来なくて ボッチになって グレてしまう可能性の旨を女神に伝えた
女神は何故かペットの顎を撫でつつ…思案する
ソフィア「ならば、お友達を作ってあげればいいの」
意外に幼い声で仰った
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◆同日 同時刻 魔王城の別室
魔王の娘は珍しくご機嫌だ
何故かって?
遊び相手がいるからだ。
魔王女「きゃはははは~♪」
神鳥「でゅふふふ…」
女神と魔王が話し合いをしてるので遊び相手になってあげているようだ
笑い声が不気味だ
どう見てもただの黒髪ツインテール幼女 まるで触ることに飢えているように
神鳥の真っ白な羽毛をもふもふなされる
どれだけ我慢してきたのだろう
魔王女はストレスを発散するようにもふもふする
女神様の眷属たる神鳥ヒュペリオンは考える ヘッドに雛を乗せながら
魔王女ちゃんを愛おしそうに眺めつつソフトに撫でる
魔王女はとことん遊んだのか 疲れて寝てる
魔王の部下「王女様と遊んでいただき、ありがとうございます」
ダークエルフなメイドさんは魔王の部下だ
とても美しい姿であったのだろうが・・・ 今は大変にやつれている
これが王女の力を浴び続けた影響なのだろうか
否
それだけではない
聴いてみると彼女くらいしか王女の身の回りの世話を出来る物がいないのだ
王女を預けられる信頼できる味方というのが少ないのだろう
手伝いは居るだろうが 中々にオーバーワーク
神鳥「まぁ…がんば… … ってるお うん」
既にがんばってる彼女に
これ以上がんばれというのは酷だろうと思いセリフを変更してしまう神鳥であった
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ソフィア「お友達を作ってあげればいいの」
大事なことなのか二度言われてしまった。
魔王「はい・・・?」
説明を促すように首をかしげる
ソフィア「娘ちゃんの力に耐えられるお友達を作ってあげるといいの」
魔王「しかし、愛娘の成長のことも考えると最低でも魔王わたしの一撃に耐えなければなりませんが…」
ソフィア「… … … そんなにすごいの?」
魔王「並みの兵士でも灰になるかと…」
若干 慌てた雰囲気を出した女神さま
魔王「私の一撃に耐えられるオモチャとかこの世で作るのはたぶん無理ですよ?」
何を隠そう 自慢じゃありませんが腐っても魔王
最強クラスですのでドワーフでも無理だと思いますよ
ソフィア「そうね、この世ではね・・・」
表情はわからないが きっと悪戯っぽい笑顔をしてるに違いないと魔王様は思った。
魔王「まさか・・・、貴女様が自ら、創造してくださるのですか?」
原住の神々から圧力がかかりませんかねぇ
ソフィア「流石に過度に干渉しすぎると注意されるからね、素材と資金は用意するから作ってもらうの」
その言葉の後にこう続いた
ソフィア「凄まじき種族 日本人に」