2話『街』
トーマスさんからは色々な話を聞くことができた。
この国ファンテジア王国は大陸で二番目に大きな国で、また、最も豊かな国らしい。
中央に王都があり、東西南北に4つの大きな街がある。
向かっているのはその内の一つ、東の街ニアフォレストというらしい。
その先には大森林と言われる、大陸を横断するほどの大きな森があり、そこに面しているのでそんな名前なんだそうだ。
ストレートすぎる気がするが覚えやすいのでむしろ有難い。
ニアフォレストは冒険者の街とも言われ、ルーキーにも寛容だし、仕事も探しやすいだろう、との事だった。
ちなみに俺が居た森は街から近く街道も通っているために定期的に獣を狩って安全を確保しているらしい。
どうりで襲われずに生きていられた訳だ。
貨幣は「エル」という単位で、1エル、5エル、10エル~と円とほとんど同じだったので普段通りに考えておけば問題なさそうだ。
後は魔法!詳しくはわからなかったが、この世界では魔法はあまり強力ではないらしく、日常生活レベルのものがほとんどらしい。これは街で詳しく調べようと思っている。
だって魔法だぜ!?
どんなに小さくても魔法は魔法、元の世界じゃ絶対に経験できないんだからやれるだけやってみたいしな!
そんなこんなでニアフォレストの門の前に着いてしまった。
「商業用の出入り口は別だから、ここまでだね。入ったらまずは冒険者ギルドに行くといいよ。それとこれをあげよう。必要になるはずだ」
と、トーマスさんが言いながら小袋をくれた。
「お金…ですか?ここまでしてもらってさすがにもらえないですよ!」
「身分証のない者は入るだけで必要になる。それに仕事にありつけるまで何日かかるかわからんだろう?最悪、それでご飯くらいは食べれるだろう。私の旅も楽しかった、お礼だよ。」
「…すいません。ありがとうございます。いつかかならずお返しします!」
「はっはっは、律儀だね。ならば私はファムノースという街にすんでいる!いつか会いにきてくれ。妻も喜ぶよ。ではな!」
「ありがとうございましたっ!!」
本当にこの人には世話になった。いつか必ずお礼しに行かないと。
さて、では行こうかね、初・異世界の街!
門を見るとイカツイおっさんがとてもてきぱきと列を捌いている。
「次、身分証はあるか?」 俺の番だ。
「ないです。山奥の出身です。」
「なんでこの街に?」
「冒険者になりたくて。ここが一番だと聞きました。」
「一万エルだ。この紙を持って街の一番東にある冒険者ギルドに行け。登録ついでにいろいろ教えてくれる。がんばれよ」
「ありがとうございます!」
トーマスさんに教えられた通りに受け答える。似たような奴が多いのか、とてもスムーズに入る事ができたうえにどうしたらいいかまで教えてくれたぞ。
なんて親切な!
門を入ると通りになっており、様々なお店や出店があり、とても活気がある。
冒険者の街、と言われるだけあって、装備に違いはあれど、鎧などを着ている人間が多く、店も装備や道具関係のものが多いようだ。
色々と見たいものはあるがまずはギルドに行こう。
東の端だったよな。
扉を開けて中に入ると、数人が俺の方を見てくる。見たことない顔だろうし当然か。
中では簡単な食事などもできるようで、腹を膨らませる者、酒を呑んでいる者、作戦会議をしているらしい者など様々だった。
奧のカウンターに受付らしき女性がいるのでとにかく聞いてみよう。
「こんにちは、冒険者登録したいんですけど」
「はい~初めてですね~?ご説明します~」
……。
ほんわりしたお姉さんの説明はとても分かりやすかった。
登録すれば今から冒険者を名乗れるそうだ。貰えるカードが身分証明にもなり、依頼の時や街の出入りにも必要になるそうだ。
冒険者にはランクがあり、E、EE、D、DD~A、AA、S、SSと12段階に別れるそうだ。
DDまで初心者のくくりで、ギルド管理の格安宿の利用や、簡単な装備の貸し出しなどもしてくれるそうだ。
EEまでは街中での手伝いや街の西側近郊での採取、Cから動物や魔物などの狩猟系の依頼を受けれるそうだ。
依頼をこなすとポイントが溜まり、DDまでは一定値を超えるとランクが自動的に上がる。DDからCにあがるときにだけは試験があり、受けて合格しなければ上がる事ができない。
そこから上は強さと実績により、ギルドからの評価で変わっていく。
余談だがこの世界では、動物、魔物、魔獣と大きく三つに分けられるそうで、動物は一般人でも狩れるもの、魔物はCCからB以上の冒険者が狩るもの、魔獣は冒険者十数人から国家レベルまで幅広いそうだ。
ここニアフォレストの街は、東に隣接する「大森林」から魔物が現れる場所であり、国の防衛線であり最前線のようだ。
妙に冒険者の制度がしっかりしていたり、至れり尽くせりだと思ったが、「スラムを作らず、孤児への仕事の斡旋や、大森林や諸外国からの防衛戦力の確保」という国家事業のようなもの、と説明されてとても納得した。
「説明はこんなところですかね~」
「ありがとうございます!」
名前はハルで登録してもらった。名字を持っているのは貴族だけらしく、目をつけられると面倒、とのことでただの「ハル」での登録にすることにした。
早速宿の手配をお願いし、依頼をこなすことにした。
「初めての依頼でしたらぁ~。引っ越しの手伝い、庭の掃除、家の屋根の修理、ペットの散歩、こんなところです~」
「ほんとにお手伝いからあるんですね。引っ越しの手伝いでお願いします」
これならバイトしたことあるしなんとかなるだろ。
「はい、じゃあ頑張ってくださいね!」
場所を聞いたが分からないので手書きの地図を書いてもらった。お姉さんマジ神!
人に聞きながらなんとかたどり着き、言われるがままに働いた。
仕事を終えてギルドで報酬をもらって宿に着いたときにはすっかり夜も更けていた。
ギルドに紹介された格安宿で横になりふと左腕のブレスレットを見る。
神様はいろいろ言ってたけど、簡単に言えば人のためになることしてりゃ貯まるんだよな。
とにかくいろいろやってみよう…できることから。
そんな事を考え、眠りに落ちていった。
半端ですがきりました。できるだけはやく次書きます。




