第四話 アカい津波
ドイツ軍の優勢は、向かい来るレーニンらによって覆された。
「ええい有象無象共が! 一山いくらの雑魚の分際で!」
ヒトラーシャークは向かってくるサメの群れを相手にするのに手いっぱいになり、地上部隊の支援が途切れてしまった。
そしてその結果、ソ連側のサメがドイツ軍を攻撃し始めることになった。
「総統閣下! お助け、お助けを!」
「何処向いてもサメが居やがる! 撃て撃て撃ちまくれ! 下も上も地獄だ、地獄だぞ!」
大量のサメはドイツ軍の地上部隊を襲った。サメたちは空を飛べる以外に特に目立った能力はない。しかしその高速機動による突進、サメが元来持つその牙は歩兵にとっては脅威以外の何者でもなかった。
歩兵は牙により引き裂かれ、突進はドイツ軍の4号戦車をひっくり返す。
「何でもいいから撃て!」
「連中の対戦車ライフルがめてきたぞ! こいつを使え!」
見上げると無数のサメが死体の上を飛ぶコンドルのように空を舞っていた。ドイツ兵はもはや退くことも出来なくなったと悟り、抵抗を試みる。ある者は戦車の主砲を空に向け、ある者は小銃で迎撃を試みた。
しかし、戦況を覆すだけの撃墜数は望めなかった。
「おのれ!」
「ヒトラー、貴様に言葉を贈ってやろう『具合が悪いときに一番重要なことは、決して気力を失わないこと』だ!」
「喧しいわ!」
レーニンに追いかけまわされるヒトラーシャーク。このレーニンだけはヒトラーシャークと同等の能力を有していた。アカいブースターによる高速機動、口から思想と糞を吐き出すその能力も。
スターリンにやったように速度を落として追い越させるという事にも柔軟に対応してくる。
「こうなったら致し方ない……」
ヒトラーシャークはブースターを完全に停止させた。火が消えたヒトラーシャークを見てレーニン、アカシャークはにやりと笑った。
「観念したか! では死ねェ!!」
レーニンの口が開き、今まさに大便が吐かれるその瞬間。
ヒトラーの肛門から夥しい量の大便が噴出した。水分を大量に含んだそれは後ろに迫っていたレーニンの顔面に飛び散り、目と鼻を潰した。
「ぐぅああああああああああああああ!? なんだこれは!?」
もがき苦しむレーニン。しかし今の彼はサメ、目に入った物をどうにかするための手はもはやない。
ヒトラーシャークはその隙にブースターを再び点火、素早くレーニンの後ろに回り込むと口から大便を吐き散らかした。
「ぐぁ、あああああああああッ!!」
「勝負あったな。あとは雑魚だけか」
レーニンを落したヒトラーシャーク。今度は他のサメに目を向け攻撃を仕掛け始めた。
その頃、連合軍は……
「すでに量産は完了しているか?」
「はい。これならばドイツも何もかも消し炭にすることができるかと」
連合軍の本部では集結した大量の爆撃機にある物を積み込み始めていた。
黒々とした巨大な爆弾。
第二次大戦を終わらせる最終兵器、『核』である。




