第二話 ぶつかる思想
地上で始まった戦闘には目もくれず、空では熾烈なサメ同士の戦いが繰り広げられていた。
「全ての人民が平等に幸福を得るのだ! それが共産主義である! これ以上の思想があろうか!? いやない!」
アカシャークは口から大便を吐き出しながらヒトラーシャークを追いかけ吠える。
だがヒトラーシャークからすれば、アカシャークの言葉など屁に似た戯言。妄言。聞くに値しないものだ。
「平等などという言葉で釣って、支持と権力がほしいだけだろうが!! それと金!」
ヒトラーシャークは肛門のブースターを一時停止、するとスピードの上がったアカシャークはヒトラーシャークを追い越してしまった。
これでアカシャークはヒトラーシャークに後ろを取られた形になる。いつ大便か直撃してもおかしくない状況だった。
アカシャークは何を思ったかひたすら左に左に回避しようとする。が、ただ左に行くだけではヒトラーシャークを躱せない。
「共産主義などに価値はない! お前と同じくな!」
「デェエエエエエエエエエエエエエン!!」
ヒトラーシャークは狙いを定めアカシャークの肛門に生えたブースターに向かって大便弾を叩き込んだ。
「落ちろ!」
「沈まぬ! 沈まんぞ! 我が思想は永遠なり!!」
「お前じゃなくてマルクスの思想だ!!」
アカシャークは尾びれに大便が着弾、結果制御が効かなくなりソビエトの如く地面に向かって降下し始めた。
「口ほどにもないわ」
撃墜を確信したヒトラーシャークは次の目標を探し始めた。といっても下をみればソ連兵など文字通り腐るほどいるわけだが。
真下にいる戦車隊を攻撃することにした。
一方その頃イギリスでは……
「ふむ……」
イギリス首相、チャーチルは酒を嗜んでいた。
片手にマティーニグラスを持ち、傍らにはベルモットの瓶が置かれている。チャーチルはうんとドライなマティーニを飲むためにベルモットの瓶を横に置き、それを眺めながらジンを飲んでいたと言われる。
ぐびっ、ちらっ。
ぐびっ、ちらっ。
ぐびっ、ちらっ。
ぐびっ、ちらっ。
ぐびっ、ちらっ。
ぐびっ、ちらっ。
ぐびっ、ちらっ。
ぐびっ、ちらっ。
ぐびっ、ちらっ。
たらふくマティーニという名のジンを飲んだチャーチルは呟いた。
「青い空、澄み渡る空、心地よい日差し、そして美味いジン。言うことがないくらい充実した日だ」
空になったマティーニグラスを投げ捨てると、満ち足りた表情のチャーチルは呟いた。
「ヒトラー殺すか」




