八話 やらかしました。
説明続きで申し訳ありません・・・
テスト前なので少し更新が遅れます。
「よし、設定を変えよう」
深呼吸しまっくて落ち着いた結果、とりあえず思いついた事を実践してみようという試みを開始した。
さっきの画面をもう一度出し、言語に関する記述に干渉する。
「とりあえず記憶分野に“言語”を追加。“細分化”をかけて日本語とこっちの言語を分けてっと」
どうしてこんな事が出来るのかだって?
そんなの決まってる。【特上の魂】に【幻想書架】で細工して少しだけ修正・追加出来るようにしてみたんだ。
やれば出来るものだな。過信はしないが。
「こっちの言語は理解・筆記出来るように設定、意識化での使い分けは・・・成功!」
さっきまでの感傷はどこへやら、新しいおもちゃを得た子供のように画面をいじる様は見たまま子供のようだ。
「さて次h「失礼します」はい、どうぞ」
高速で画面を閉じて来訪者を迎える。
「おはようございます、今日は絶好のお散歩日和ですよ」
「おはようございますシエラさん。早速ですが今日の予定はありますか?」
部屋に入るなりテキパキと服飾の類を準備しだしたシエラに声をかける。
服の着脱は昨晩の内に一人で出来る旨を伝えたのだがなかなか引いてもらえず、正式な祭典などのときなら・・・という事で何とか妥協してもらったのは未だ記憶に新しい。
そもそも礼服など着る機会があるかどうかは分からないが。
「今日は・・・そうですね、この世界の簡単な説明と魔力量・体力・技量の測定になりますね」
なんでもない事のように告げるシエラに一瞬何か黒いものを感じた。
「あの、シエラさん?」
「ふふふふふ、カワイイ覇王様が動き回る・・・」
良くわからない事を呟くシエラの手には何故か私のアレに酷似したものが抱えられている。
「ふふふふふふ、さあ覇王様、コレにお着替え下さい☆」
あ、デジャブ。
どこぞの神を彷彿させるシエラに若干引きつった笑みを向けて、その笑顔と服を比べる。
・・・怖くて断れないよ?
諦めに似た感情を抱きつつ、渋々とそれに袖を通したのだった。
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・・・予想はしていた。誰だってこんな格好で入ってきたら何かしらの反応はするだろうと。
でもこれは予想の斜め上を行った感が否めない。
「なんで、皆さん、カメラを、構えて、いるのかな?」
一言ずつ区切って周囲にたかる、一応偉いはずの方々を睨み付ける。
もともと吊り眼に近かった眼をさらに鋭くしているのだが、いかんせん身長差がありすぎて子供が怒っているようにしか見えない。
その上、羞恥のあまり頬が薄桃色に染まってしまっているのも迫力を削いでいる要因の一つだ。
その証拠に誰もが皆微笑ましいものを見るような眼で私を見るのだ。
・・・体操服の上下に、黒のジャージの上を羽織った私を。
最初に見たときはどこから手に入れたのか気になったが、答えはあっさりと返された。
曰く。
「コレですか?そこに落ちていましたよ?」
そう私は忘れていた。寝る間際に動きやすい体操服で寝るべきか考えてしまっていたことを。
幻想書架が想像具現の能力であることを。
初日から能力を制御していなかったという失態を演じた私は今ここで恥をさらしているわけだ。
間接的な原因であるシエラなど酷いもので、先ほどからバシャバシャと一向にシャッターをきる手を止める気配が無い。
むしろ私のそんな顔も「はわぁぁぁぁぁ!死ねる、この一瞬のために死ねる!!」とか言いながら悶え撮っている。
あとそこのおじぃ、ちらリズムとかいうな。私は短パンはちゃんと腰上ではく正統派なんだ。
あ、兄貴・・・もといロイドが気付いた。
そのままシエラは簀巻きにされて席に縛り付けられた。
・・・カメラは保存なんだね。
シエラが捕縛された事によりようやく本題に入ることができた。
曰く。
「この世界の名前はローリエ。三つの大国、四つの小国、五つの島国から成り立つ世界。
魔族国家・グランフィーナ王国は人口の九割を魔族が、一割を多種族が占める比較的自由な国。
中立国家・レグナード共和国は永久中立の多種族国家故に様々な技術・情報が集まる国。
人属国家・オウラ帝国は人間を優良種と考える王が統治する国。国民の九割九分が人間。
小国は中立寄りの比較的温厚な国、島国は三つの国と交流があるが残り二国は魔族とのみ交流。
エルフ族と獣人族がそれに当たる。
その他に魔物と呼ばれるものがいるが魔族ではない。
何千年も昔に人属が作り上げた生物兵器の子孫で生態系の一端を担っている。
どの国でも討伐の対象であったりする。時々なつく。
そして思想の違いにより帝国が王国に戦争しかけてきそう
という事ですね」
一息に言い切ったけれど、要約するとこんな感じらしい。
ついでに付け加えるなら、私を召喚した理由も戦争に関係しているらしい。
「どういう事ですか?」
「実は、この国の先代・覇王が妙な遺言を残して逝っちまったんだがな。なんでも、どこかの国が召喚しようとしたら、こちらでも召喚しろ。出てきた者が次代の覇王だってな。あと敬語やめろ」
胡乱な眼を向けるとロイドが苦笑してガシガシと頭をなでてきた。
「王の遺言は絶対厳守、それから十三年この国にはトップが居なくなった」
「それで、私がここに居るという事は」
「ああ、喚ばれたんだ。それも帝国に、な」
帝国、王国の敵になるかもしれない国。
「願わくば、その人が自分で物事を測れる人物であって欲しいです」
知らない場所でも、自分を見失わない人であってほしい。
そう願わずにはいられない。その人は私と違って元の世界に未練があるだろうから。
小さく呟いた言葉に、ロイドは優しく笑って、そうだな、と呟いた。
「・・・お兄ちゃんみたいですね」
「ははっ、兄貴か、それもいいな!」
兄貴って、そう言っちゃいますか。
「うん、いいな。よし、今度から俺を兄と呼べ!だから敬語は無しだ」
快活に笑うロイドに先手を打たれた。
・・・兄、か。
こんな風に笑えるなら、それもいいのかもしれない。
新しい世界は、少し私に優しいようだ。
にじみ出る嬉しさを隠しもせずに私は控えめに笑った。
ほんの少しのイタズラ心を潜ませて。
「よろしく・・・ね、にぃに?」
ズッキューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
・・・あれ?耳では聞き取れないはずの不穏な音が聞こえたよ?
途端に静まりかえった室内にヤバげな空気が漂いだした。
何をどうすればいいか解らなくてオロオロしていると、おもむろにロイドが立ち上がった。
「・・・レイカ」
「はっ、はいっ!」
尋常じゃない様子におもわずたじろぐ。私は何の地雷を踏んだ!?
「・・・」
思案するのもつかの間、ロイドが腰を屈めていきなり私を抱き上げた!?
「!!!!!!!!?」
ビックリしすぎて声も出ない私を抱えたままロイドは叫んだ。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!兄貴最っっっっ高!!!!!!!!」
「・・・え?」
すると今まで黙っていた面々も口々に騒ぎだし何がなんだか解らない混沌タイムに突入。
「かっかかかかかかカワイイィィィィィ!!!!」 ※シエラ
「我が生涯に一片の悔い無し!!!!」 ※ロイド
「ああああああああああああ!!!義妹に欲しい!!!」 ※フォン
「いいなぁ・・・妹」 ※キリ
「・・・お持ち帰りしたいですね」 ※アレクセイ
「(こくり)」 ※クロア
「ジィちゃんと呼んでほしいのぉ」 ※シュトラテス
「娘ができたみてぇだな!」 ※アレス
「カワイイカワイイカワイイカワイイ・・・」 ※ミリアス
全く身動きがとれない私に成す術はなく、そのお偉いさん方の混沌タイムが終了したのは太陽が真ん中に差し掛かるまで続いた。
澪歌が得たもの⇒精神的な疲労
澪歌が失ったもの⇒人?としての尊厳を若干・敬語
偉い方々が得たもの⇒ステキな称号(一部に限り)
得られた教訓 迂闊な事はするな。
・・・プライスレス。
神「いいなぁ、わたしも神って呼ばれるの卒業したいなぁ」
作「しばらく無理なんじゃないか?」
神「えぇぇぇぇ~」
作「それより澪歌の精神が持つか心配だ」
神「いい感じに崩れてきたね☆」
作「いい傾向・・・か?」
神「いい傾向だよ☆」
作「ならいいか。それでは皆様」
神「また次回~☆」