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十一話  ものの数秒で黙らせました。

なんか久しぶりな気がしてならない今日この頃。


本日も澪歌はやらかしました。


「さて、やりますか」


とりあえず学校へ無事に入学するために色々試す事にした。

主に魔力の使い方を体感するためだ。


場所はあの鍛錬場。ここならいくら破壊しても問題なさそうだったから選んだ。


練習の教官には魔道師団団長であるシュトラテス(じぃじ)と騎士団団長のアレスが付いてくれた。


青空教室だー、と無意味に感動しつつ魔術のしくみについて解説するじぃじの話に耳を傾けるのだが・・・


話が長すぎる。


要するに「魔術は攻撃・補助・回復の三種類があって云々」


そして「属性によって得意とする種類が違う云々」


さらに「初級・中級・上級・古代とランクがあって云々」


追加で「古代はすでに失われた神の力、空間・時間・創造・幻惑で云々」


「最後に。魔術とは絵を描くようなものでの、器というパレットから魔力という絵の具をとり、詠唱や魔方陣という筆でキャンバス、世界に魔術という形で描き出す力なんじゃよ」


聞いていたかな?という問いに頷くことで応える。

・・・アレスは寝てしまったようだが。


「一度やってみなさい。経験にまさる授業はないよ」


そういってお手本だと、そこらに乱立している鎧を着た案山子カカシに向かって詠唱を始めた。


「灯りをともせ 篝火のように 燃えろ フレイム」


流れるように紡がれた言葉が完結すると同時に、じぃじの指先から拳大の炎が弾丸のように飛び出していった。


数秒の間もなく着弾した、と同時に案山子は炎に包まれやがて消えた。

そこには焦げ跡のついた鎧が支えに引っ掛かってかろうじている状態だった。


この世界にきてようやくファンタジーらしいものを目の当たりにした。

そのせいかテンションが上がってきた!


ワクワクしながら、さっきじぃじがしていた言葉を思い出す。


パレット(うつわ)から赤の絵の具《炎の魔力》を掬って、詠唱ふで世界キャンバスに反映する・・・


掬う量は少しだけ。軽く息を吸い込んだら、言葉と共に吐き出す。


「灯りをともせ 篝火のように 燃えろ フレイム!」


指先から飛び出したのは真紅の弾丸。じぃじのより小振りだが、速度と込められた魔力はその比ではなかった。


僅かの間に弾丸は案山子に着弾し、哀れ案山子は炎上・溶解して原型が解らなくなった何かに変わりはててしまった。


「・・・うっすら予想はしてたけどな!」


呆然とした様子のじぃじに掛ける言葉が見つからなくて、フォローにもならない台詞を口走るだけに留める。


予想外な事に、どうやら無限の魔力は密度まで濃いらしい。


「じぃじ・・・目標ができたよ」


「・・・なんですかな?」


「完璧に制御する」


「それ、いいの」


ため息を吐かんばかりの私たちに対して、アレスはいつの間に起きていたのか案山子の惨状を見て、呆れて笑っていた。


「もうなにが起ころうと驚かんよ」


アレスはすぐに前言撤回することになる。








********************








「・・・なんだこれは」


呆然と立ち尽くす男が二人。


その目の前には焼け野原が広がっていた。


地面は目に付く一帯を満遍まんべんなく焼き焦がし、抉れた地面は焼き固められて、反対に盛り上がった土は奇妙なオブジェを作り出している。

ぽつぽつと湯気が立つ場所は溶けて溶岩になってしまっている。


そんな惨状を生み出した張本人である私は余りの威力に苦笑するしかない。



ちょっとした実験だった。


こちらの魔術は一時間足らずである程度制御できるようになった。

そこで今度は私の知っている魔術、空想上の技やオリジナルならどうなるのかが知りたくなった。


思い立ったが吉日とばかりに、木陰で見守るじぃじとアレスに一言告げてから行動開始。


まず手始めに、みんな大好きFFの魔法を使うことにした。


「とりあえずは炎で統一しよう ファイア!」


すると、手の平の上に炎の塊が出来た。手の平サイズのかわいいのが。


とりあえず・・・発射!


ボアァ!


「うん、これは・・・全身大火傷くらいの火力」


試に他のもやってみた。


「ファイラ!」


ゴォ!


「人を消し炭に出来るな、一瞬で。次、ファイガ!」


ゴォア!!


「民家が焼失するよコレ。なら・・・アギ!」


ボアァ!


「ファイアくらいか。なら他もレベルごとに統一されてるのかな。じゃあいきますか」


曲げていた肘を伸ばして、腕を地面に対して平行にする。


「大きいの」


そして大きく叫んだ。その呪文の名は。


「ブラストバーン!!!」








********************








反省?もちろんしてるよ。


だってコレもう土地自体が死に掛けてるし。

そこの二人の視線が居たたまれないので、とりあえず治そう。


どうやって?


こうやって。


「アクア」


とりあえず、そこらで未だに燃え続けている炎の鎮火・・・のつもりが一面水浸しに。

それでも無くならない溶岩にはコレ。


「ブリザラ」


氷塊をそのままぶち込んで直接強引に冷やして解決させる。


それでも乾いた(焼けた)土は元に戻らないので、土地そのものを回復させる。

・・・詩魔法使おうか迷ったけど、ひとまず目立たないように初級の魔法でいこうと思う。

まぁいつかはやるが。


「レイズ ケアル」


効くかな、どうかな?と内心気が気で無かったが、そんな私を放って置いて、大地は元通りに修復されていく。


どうやら大地も命の枠に嵌められているらしい。


「よし、終了!」


初めてにしては上出来な魔術の出来映えにひとまず満足する。

今度はオリジナルを創ってみよう、きっと楽しい事になる。


ふんふんふ~ん♪


と放心している二人をおいて足早に城へと歩き出す。


なぜ放置しているか、言うまでもない。


何を言われるか解ったものではないから逃げているんだ。

鼻歌まじりなのは現実からも逃げているから。


だって誰があんな威力出そうとするんだ、練習初日からいきなりさ。


っとまずい、正気を取り戻したようだ。


仕方ないとばかりに加速する。


日常ではなかなかお目にかかれない速度をたたき出し、私は少しハイになるのだった。






















途中から眼にも止まらぬ速さで駆け出した澪歌を、二人は見送る。


その背に、アレスはポツリと呟いた。


「老師だけでなく、私まで抜かれそうだよ・・・」




















その夜、城下の酒場には酒をあおる二人の姿があったとか。






作「案山子で良かったな。人間なら死んでる」


神「だね、しかも大地を治すって・・・」


作「ん?問題でもあるのか?」


神「いや、大地も一応命なんだけど」


作「なんだけど?」


神「星という括りなんだよね、大地って」


作「それは、普通ならケアルでは・・・」


神「気休めにしかならないはずなんだよね、あの焦土からみたら」


作「随分と規格外に育ってくれてるようで」


神「ま、澪歌だから出来たって事で」


作「だな。澪歌だし。・・・じゃあ神やるぞ」


神「うん、では・・・」


作&神「「それでは皆様また次回!そして次回は番外編!」」


ではでは。



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