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第32話 夏美のお泊り会2~不穏な存在~

 夏美センパイは自宅でお風呂をすましてきていた。でも、寝巻ではわたしの家に来ることができないので、いったん、ラフだけど、寝巻ではない格好でこっちに来ていた。『寝巻に着替えるね』と言って着替えだした。というか女の子同士と言っても、少しは羞恥心……、迅くんの家で、何も気にせず、安心しきって迅くんの目の前でシャワーの用意のために半裸になったわたしよりかはマシか。


「あっ、しまった、夜用ブラしかしてない」

「お昼のなら私の……」


 なんというか、夏美センパイは先輩だ。年上なんだ。私より1年先に早く産まれてるんだ。胸だって、わたしよりも大きくて当然だ。


 当然なのだろうか……? お姉ちゃんとわたしだと、見た感じそこまで差はない……。


 ――なんだろう、この敗北感


「ごめんなさい、夏美センパイって思っていたよりも胸大きいんですね」

「ん? え、そう? 私なんかよりもまやのが大きいよ、体育の授業の時、本気で走ると胸が当たって痛いらしいよ」

「えー、なに、そのぜいたくな悩み」


 お客用の布団を取りに行こうとしたら、もうお父さんが寝ていたので、お客用の布団が出せなかった。夏美センパイには申し訳ないけど、わたしのベットで一緒に寝てもらおう。


 布団に2人で寝転がっていた。思っていたよりもベッドが大きいタイプで助かった。


「それはさておき、夏芽ちゃん、迅くんと今、あんまり仲良くないんじゃない?」

「あーはい。そうなんですよねぇ、でも、ここで受験まで距離を置いて、受験終わってから目いっぱい甘えようかなぁとか思ってますね」


 今日あった出来事は隠した。彩莉センパイのことはあまり思い出したくない。


「そうだよねぇ、夏芽ちゃん、宝賀は滑り止めだもんね」

「うん、あっ、すいません、はい」

「いいよ、タメ口で」

「ダメです!! 1年と言えど、先輩と後輩の関係が基本の間柄の人とタメ口はダメです」

「マジメだなぁ。どうして受験までなの? 受験があるなら、勉強教えてって口実で……、うん、でも、そこまで賢くないしなぁ、迅くん。それなのに、迅くん、3学期入ってから、というか……、うーん、これは夏芽ちゃんに言っていいものなのかなぁ?」

「迅くんってそこまで賢くないんですねぇ、さっきお姉ちゃんから聞いてビックリしました。いや、そもそも勉強の話とかそんなにしなかったですし、おすし」

「なんで、そこで、『お寿司』なの、夏芽ちゃん」

「なんか、『ですし』っていうと『おすし』って言いたくなりません? いや、さっき、夏美センパイが言おうとしたわたしに話してもいいか悩む話って何ですか? 話してくれないと、わたし、今日寝ません!!」

「いやぁ、東京の高校から転校生が3学期も来たんだけど、それから迅くんなんかわかんないけど、だいぶ変わったんだよねぇ……。同じ地域から引っ越してきたその関係かわかんないけど、すごく仲良しなの」

「その人って……」

「彩莉 いろはっていう女の子でさ、キレイ系だけど、どこかつかみにくくて、腹黒そうなんだよねぇ。あと、何人も彩莉さんに『広瀬には今、彼女がいる』って言ってる男子がいるんだけど……。それガン無視で『迅は小学生の頃から私のことがずっと好きだったんだ』って言ってつきまとってるんだ。でも、迅くんはそれにまんざらでもない感じでさ。あ、ごめん、彼女の夏芽ちゃんに言うべきことじゃないよね……。そうだね、私と迅くんの出会い話でもしようか」

「うー彩莉センパイ、腹黒そうですよねぇ」

「知り合いなの?」

「今日ちょっといろいろあったんです」

「そっか、ごめんね、傷えぐったみたいで」

「いえ、それより、夏美センパイと迅くんの出会い話聞きたいです」


 『あれはねー』と遠い目をして、眠そうに、『ふわぁ〜』とかわいらしい欠伸をした夏美センパイ。わたしが無意識にこんなにかわいらしい欠伸をできるだろうか……。


「ごめん、眠いからまた、今度話すよ」

「ですね、おやすみなさい」


 別に話を聞くのは明日でもできる。


 でも、迅くんにふさわしい彼女かどうか考えるのは自由だよね?

次回 第33話 夏美のお泊り会3~決意と疑問~

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