表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/60

第3話 自己紹介

 編入試験も無事クリアし、2学期から宝賀高校に通うことになった。宝賀高校自身、家からそれほど遠くもなく、徒歩で行ける距離だった。転校ということもあり緊張でガチガチだった。早く来いとか少し遅めに来いと言われたわけでもなく、普通にほかの生徒と同じ時間に登校で大丈夫と言われた。1年の職員室に挨拶をして、職員室で待機するように言われた。


 先生の会話を聞いている限り、オレが今日、転校してくることは聞かされていなかったようだ。


 ――え、大丈夫? いろいろとこの高校心配なんだけど。


 ガララッと1年生の職員室の扉が開いて、東校長が来た。


「すまん、この子、今日から転入生の広瀬 迅くんだ」

「はい……。校長もう少ししっかりしてくださいよ」


 学年主任らしい人が校長に意見していた。


 学校のわりにアットホームなところなんだな。


「まいったなぁ、どこか席に余裕のあるクラスあったけ?」

「はいはい、私のクラス、この夏休みに1人退学したので、余裕あります!!」

「そうだったなぁ、5組にしとくかぁ。学力的にも普通コースの学力みたいだしな、校長のくれた資料によると」

「どのくらいの学力なんですか?」


 職員室にいた先生、六人が校長の置いていったオレに関する資料を目にしている。


 ……1部しか用意してないのかよ、校長。いや、しかし、転校生の資料部を6人の先生がこぞってみるってなんか面白い光景だな。


 そこにキーンーコーンーと予鈴が鳴り始めた。


「さ、広瀬くん、行こうか、キミの新たな学び舎のクラス、一年五組に」

「はい」


 1年5組と書かれた教室の前まで行くと、オレは、柱のそばで待機しているように言われた。あれだろう、転校生の広瀬くんと紹介されるまでここで待機するのだろう。


「おはよう。今日の日直はなしなー。と、あーと、夏休みの宿題はその教科の先生の授業に直接提出だな。えーっと、あと……」


 宿題ってどんなのが出ていたんだろう。別にマジメというわけではないが、少し気になった。

 

 ――数学とか苦手なんだよなぁ。あとオレの苦手教科と得意教科ってなんだろう


「あっ、そうだ、転校生が来たぞ」


 『転校生?』とクラス中がザワザワしている気がした。ガララと戸を開け担任の先生が手招きした。オレがクラスに入ると、ザワザワしていたのが一瞬でやんだ。


 ――ごめんよ、こんな一般人で


 担任が、自己紹介してと小声で言った。


「広瀬 迅です。よろしくお願いします」


 『それだけかよー!!』と一部の生徒にはツッコまれた。


 ――ごめん、自己紹介って何言えばよかったけ? 東京の高校でなんて言ったけ


「まぁまぁ、広瀬も緊張しているんだ。それくらいにしてやりな。席は多奈川の横でいいか」


 多奈川? どこかで聞いた記憶が……。ボケ~としていた多奈川さんが『すいません、英語の宿題やったけど忘れました』といった。


 そこでクラスに爆笑が起こった。


「多奈川、今は転校生の話だし、私の教科は現代文だ。現代文の課題はやったんだろうな?」

「現代文はテキトーにやりました」


 『はぁ~』と担任の先生はため息をついた。そして、言葉を続けた。


「ほら、広瀬もぼやっとしてないで多奈川の横の席へ行く。今の発言で場所はわかっただろう?」

「えぇ、まぁ」


 多奈川さんがそこでオレを確認して、『あっ!!』と大きな声を出した。


「どうした、多奈川?」

「なんでもないです」


 そういいつつも多奈川さんを見ると、嬉しそうにしていた。そこでオレは、『この前の多奈川さん』であることに気づいた。多奈川さんの席の横に座り、担任の話をきいていた。



 どうやら宝賀高校はかなりゆるい高校のようだ。授業の時に宿題を集めるのがめんどくさいから今、現代文の宿題回収する、と担任が言って現代文の宿題を回収していた。やはりというべきか、どこの高校でもあるのだろうが、宿題忘れた人はいた。


「宿題忘れたやつらは明後日の現代文に間に合わせろよー」

次回 第4話 学校案内

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ