表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/60

第13話 商店街の協力1~片想いの相手の姉と父~

「さて、クリスマス会の商店街の協力の件だが、少し私も動いた。やはり、生徒からのアポがないと動かないと言われた。ということで、南商店街の『鮮魚のはなまる』さんが代表だから開店時間中に聞きに行くんだよ」

「ん? 鮮魚のはなまる?」

「ありがとうございます!! 理事長」


 理事長が『代表』と言ったお店に夏芽がピクリと眉を上げた。


 授業もないので、すぐに南商店街に、オレと麻実さんが向かった。多奈川さん、久賀、夏芽は学校に残って、フォークダンスの練習であったり、有志企画の試案をすることになった。実は有志企画は実行委員意外の友達からも意見を集めている。各々、外部に絶対情報を漏らしそうにないという友達に限って、有志企画の相談をしようとなっていた。


 南商店街はこの市にある2個の商店街のうちの比較的栄えてる商店街だ。代表の鮮魚のはなまるはその中でも1、2を争う老舗で、今の店主で3代目のおじさん店主である。


「なぁ、麻美さん、さすがにタダで頼む訳にはいかないし、かと言って魚を買っても、そこまで家に帰らないオレたちには不要の代物だし、どうしよ」

「それもそうだよねー、どうしよう」


 そんな話をしていると、南商店街の入口付近についた。クリーニング屋に宝賀の夏服をクリーニングに出しに来ている女子生徒に会った。


 ――来年と再来年の夏はオレはあれの男子版を着るのか……

 

「おっ、まみっちじゃん。えっと、横の子は確か……なんとかくん!!」

「いや、なんとかくんって失礼なー広瀬だよー!!」

有紀(ユキ)はクリーニングに来たの?」

「そうだね、いやーお父さんに言われて思い出したよ。でも、あーしのじゃなくて妹のほう。もう使わないけどね。まみっちはえーっとごめん、なんとかくんとデート?」

「広瀬だ」

「デートではないかなー、迅くんは好きな子いるし」

「ん? じゃ、なんで、商店街にいるの?」

「ごめんね、有紀、ここで油売ってるわけにはいかないんだ。鮮魚のはなまるに急いでいかないと」

「あーしの家?」

「いや、鮮魚のはなまる」

「だから、あーしのお父さんが鮮魚のはなまるの店主なの」

「有紀!! 力を貸して!! 妹さんのためという意味も含めて」


 『え、まみっちどうしたの?』と困惑した顔を見せた有紀さん。そういえば、この人が宝賀の関係者だということはわかるが、妹のためにクリスマス会に力を貸してとはどういうことだろうか……。


「妹……? 夏芽がどうしてでてくるの?」

「……夏芽?」


 ここでオレはようやく理解した。この有紀さんは夏芽のお姉さんだ。したがって、オレは片想いしている相手のお姉さんと話していることになる。


 ――緊張するなぁ。あと、言われてみれば目元とか口元、鼻の高さとか夏芽に似てるなぁ


「ほら、クリスマス会代表の迅くんが説明する!! 商店街の協力仰ごうって言いだしたのも迅くんだし」

「あの……、すいません」


 『はい、逃げ出さない』と言って麻実さんはオレの服の首元をつかんだ。おそらく夏芽へのオレの想いがバレているうえに夏芽のお姉さんと話すのだ、しかも、この後、夏芽のお父さんとも話をするのだ。すでに緊張で心臓もそのほかの臓器とかも一気に出そうだ。


「ほんと、仲いいねー、まみっちとなんとかくん」

「ひ、……広瀬です」

「もしかして、うぬぼれてるわけじゃないけど、なんとかくん、あーしにひとめ……」

「それはない」

「否定早いね」


 歩きながら話していたので、気付けば鮮魚のはなまるに着いていた。


「ただいまー高校の友だちがお父さんに用事だってさー」

「わしにか? 確か、お前、高校、宝賀だったよなー?」

「そうだよ」


「悪いのう、斉藤から事情はきいちょる。斉藤には、生徒から来いと言ったが、あれはただ単に商店街で打ち合わせがしたかったんだ。結果はな、肉屋と雑貨屋は協力したいと言っている。わしも鮮魚で協力したいが……」

「待ってください、こちらとしても……」

「そうじゃの、わけぇ男、お前の言葉をまだ聞いていない」

「宝賀高校の文化祭、学生が期待するようなものではなかったんです。飲食の模擬店もなし、お化け屋敷もない、まるで小学校の体育祭にあるような集団行動でした。2、3年生からすれば例年通りなんでしょう。そして、ボクたちがもともとクリスマス会で案として出したグラウンドで火を起こして、フォークダンスをして駄弁ろうでは文化祭の二の舞なんです。本来ならボクたちで模擬店メンバーを集めて、模擬店の計画練ってということをすべきなんです。ですが……、お恥ずかしい話ながら、ボクたちは今、フォークダンス以外のことも含めて何かをすることを考えないといけないんです。提案としてなのですが、12月24日の夕方から商店街の何店舗かから模擬店を出店していただけないでしょうか?」

「そうだな、わしの娘も宝賀にはお世話になっているし、わしは斉藤にも個人的に世話になっているし、この商店街は1度つぶれかけた。でも、その時、助けてくれたのが斉藤だ。その斉藤が理事長してる学校の生徒からのお願いだ。引き受けよう。斉藤から聞いているが、今、お前ら、学校、特に授業もなく、しかも、学校に泊まり込むことを許されていると聞いている。ならば、代表ともう1名、今日の商店街の打ち合わせに参加してほしい」


 鮮魚のはなまるの店長から打ち合わせに参加してほしいと言われた後に、夏芽のお姉さんが反応した。


「え、なにそれ、クリスマス会おもしろそう!! 絶対行く!! 確か、12月24日って平日だったよね? 友だちに声かけてたくさんの人数で参加する!!」

「有紀ありがとう!! 楽しいものにしようね」

「なんとかくんもクリスマス会代表ガンバレ!! アガリ症も治さないとね」

「有紀、迅くんのはアガリ症とはちがうよ」


 夏芽のお姉さんの有紀さんは、『どういうこと?』という風に首をかしげていた。ニマニマ笑っていたのは麻実さんだ。


 学校に戻り、学校に残っていたメンバーに事情を説明すると、夏芽が商店街の打ち合わせに立候補した。

次回 第14話 商店街の協力2~正式な恋人~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ