無能が戻った話
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
人が群がるのは、寂しいからだそうです。
赤の他人とでも、その場限りで繋がりたいと思うのは、私からすれば物凄く悲しいことです。
だって居場所がないという事だから。
何処かしら渇いているという事だから。
よく、落ちこぼれだからってパーティを追い出されて、その後大成するなんて話があるけれど、現実にはそんな事、何一つない。落ちこぼれは落ちこぼれらしく追い出されて、残された者は資材を円滑に使う。第一そこまでの鑑識眼が備わって居ないのに、この世界を生き残れるわけがない。
それでも唯一の救いなのは、追い出して清々した、なんて反応はまず無くて、別れの際には苦しそうな顔をしていた事だろうか? 去ることを告げる際には、重々しく口を開いて、話の終わりには真一文字に口を引き結んでいた。そうして本当に別れの際には、態々会議を外してまで、挨拶をしてくれた。
例えそれが形式ばったものだとしても、お世辞であったとしても、純粋に嬉しかった。こんな居てもいなくても同じ、石ころの様な存在に気が付いてくれた気がして。
「なんだ、随分とお早いお帰りで」
元の場所に戻って、黙ってパソコンを弄る私に声を掛けたのは、同期だった。彼は揶揄う様に言いながら、私の隣に座った。嫌味だなぁとも思いながらも、返す言葉も特になくて、宙を見上げていると、焦った様な声が帰ってきた。
「なんだよ……。落ち込むなよ」
「あぁ、大丈夫。そこまで傷付いて無いからさ」
私はそう言うと、パソコンから目を離して頬杖を着く。
何を話そうか。出払って居た時の話でもするべきか。仲間たちが人外級に仕事が出来た話でもするべきか。はたまた、私の落ちこぼれの話をするべきか。少し……悩む。
だから問い掛ける事にした。
「何が聞きたい?」
「お前が好きなもので」
「まず、皆異常な程に出来た人達だった。人としての格が違う人がゴロゴロいた。だからぶっちゃけ、場違いだなぁと感じた」
思い返すあの日々。皆凄く優しく接してくれたけれど、やはり人としての格が違った。質問すると、声には出さないまでも、軽蔑しないまでも、『こんな事も知らないのか』と言うのが空気から伝わって来た。ぶっちゃけ、息苦しかった。
何だか超名門校に放り出された気がして、心細かった。
「無能は無能らしく、また力を付ける事にするよ。そうして、また出会った時に『成長したね』と言って貰える様になりたい」
「あの場所で、寂しくはなかったか?」
あぁ、そんな事。それはただ一つ。
「人外揃いの化け物ばっかだったけど、寂しくはなかったよ。やっぱり色んな事で、過保護にされてるね。頭に乗らない様にするよ」
無能だから飛び交う話とか分からないし、質問しても余りにも基本的なこと故に、目を見開かれます。
大学生に、小学生の加減乗除聞かないですよね?
それと同じです。
全てにおいて格が違います。
それでも、ラノベで見るような『さっさと出て行け』なんて感じではなくて、本当に苦しそうに別れを告るんです。
大事な話差し置いても、『今まで有難う』と言ってくださいました。
だから、『ざまぁ系』はやっぱりフィクションだなぁと感じます。
今のところ、全て真逆です。現実は。
だから寂しくはありませんでしたよ。心細かったですが。
自分の無能さに頭抱えましたが。
大都会で群がる必要が無いほどに、寂しくはなかったですよ。
この話もおいおい……。(多分)