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 本当に驚く事が多い。まずハイエルフ達の身体能力の高い事。穀物を中心とした食生活でほんの少しの肉を食べている生活だそうだ。その肉の糧となるものは・・・


 「あそこに居るのがボアじゃ。あいつは脳がなくただ突っ込んでくるだけで狩りやすい。この木の上に居れば大丈夫じゃ。弓を射ってみるか?」


 「え!?弓とか射った事ないのですが・・・」


 「弓を射った事がないじゃと!?いったいどうやって魔物を狩ってるのじゃ!?」


 「いやだから地球は魔物なんていなーー」


 「シーッ!気づかれた!」


 ブボォォォォーーーーーンッ! ドォォォンッ!!


 「なに!?ボアが魔法を放っただと!?まさかあれは・・・」


 「うわぁ〜!!!」


 オレは猪らしき生き物の咆哮と光にびっくりして木の上から転げてしまった。突っ込んでくるだけと聞いていたが明らかに何か魔法を放ったように見えた。


 「ユウキッ!!!そこを動くでないぞ!」


 ドォォォンッ!!


 「あっぶねぇ〜!」


 ブボォォォォーーーーーンッ!!


 ヤバイ!死ぬ!死ぬ!生き返ったばかりでもう死んでしまうのか・・・


 ビシュンッ!!!


 「いただきッ!!!!」


 「あっ、リルルお姉さんだけズルい〜!!」


 「早い者勝ちだよぉ〜ん!旅のヒューマン!危なかったわね!私が居なければあなたこの特別な魔物に喰われてたわよ!感謝しなさい!」


 オレは恐る恐る顔を見上げると、ミリヤさん達とはまた違う種族の人に声を掛けられた。姿は小学生くらいの体だろうか。とりあえずオレよりは小さい。ただ・・・


 「リルル達がここまで降りるなんて珍しいわね?どうしたの?」


 「やっほ〜!ミリヤ!久しぶりだね!ヒューマンを住まわせるって聞いたから暇潰しに降りてきたのよ!」


 ただビックリなのは背中に鳥のような羽が生えている。


 「なーによー?助けてあげたのにお礼も言えないの?それになにをそんなに私の翼ばかり見てるの?失礼よ?」


 「すいません。助けていただきありがとうございました」


 「分かればいいのよ!分かれば!」


 パチン


 「チコ!あんたは何もしてないでしょ!私が狩ったんだから!けど、それにしてもボアが魔法放つなんて珍しいわね」


 「私も久しぶりだ。特別なボアだ。久しぶりに魔石の大きいのが取れるやもしれん」


 「あぁ〜!ミリヤ!魔石は私のだ!」


 「あのう・・・・」


 「おぉ〜!すまんすまん!ユウキ大丈夫じゃったか!?」


 「へぇ〜!このヒューマンはユウキっていうんだ?ユウキ?お腹空いてるんでしょう?ボアの肉食べたい?」


 ギュルルル〜〜〜〜〜


 オレはこの倒れている猪・・・ではなかった。ボアと呼ばれる魔物を見て焼肉を思い出していた。体は正直だ。あまりにもお腹が空きすぎて勝手にお腹が鳴ってしまった。


 「キャハっハッハッハッハッ!お腹空いてるんだね!いいよ!あげるよ!」


 「本当ですか!?ありがとうございます!」


 自分より小さい女の子に思わず頭を下げてしまう。そのくらい嬉しい。


 「ハーピーが他人に獲物をタダで渡すとはどういう風の吹き回しじゃ?」


 「ミリヤは勘繰り過ぎよ!暇だから外の世界の事を聞きたいなと思ってね?ヒューマン?いや、ユウキ!肉を渡す代わりに外の世界の事を教えてくれ!」


 はぁ〜・・・外の世界って言われてもオレも知らないんだよな。地球の話でも怒らない・・・よな?腹が減りすぎてヤバイ・・・。



 ジュゥ〜〜〜


 「うん!美味いッ!!!間違いない!豚肉だ!!美味い美味い!!」


 「地球にはボアはいないのか?確かに特別な魔物だったが肉はただのボアとそう変わりはないと思うのじゃが・・・」


 「いや、似たような動物は居ますよ!それと似て本当に美味しいです!焼いて塩を振りかけただけなのに本当に美味い!」


 「ボアは生で食べるのが1番よ!」


 「おい!リルルと私達は違うのだ。それにこのヒューマンもそうじゃ。生で肉を食らうと腹を壊してしまう」


 「ねぇねぇ?ヒューマンのお兄ちゃん?」


 「えっと・・・チコちゃんだったね?」


 「そうだよ!ねぇ?そろそろ外の世界の話が聞きたいな!」


 「そうだそうだ!このリルル様が貴重な塩をも分けてあげたのだ!退屈させるなよ!」


 「分かった分かったよ!そうだな・・・まず・・・ミリヤには言ったけどオレはこの世界とは別の世界からやって来たんだ」

 



 「という感じの世界だ。この世界みたいに魔法はまったくない。いや・・・世界で探せばもしかすれば使える人は居るかもしれないがオレは見た事も聞いた事もない」


 「科学・・・じゃったな?その科学が発達した世界らしいぞ。のう?ユウキ?」


 「そうです。だからオレはあなた達が出す炎や水にかなり驚いています。それにこのボア?という魔物を倒したリルルさんの魔法?にも驚きました」


 「リルルさんなんてやめて!ムズ痒い!リルルでいいよ!それに私の魔法は風魔法よ!このように・・・」


 シュゥ〜〜〜〜〜〜


 ビシュンッ!!!


 「ウィンドカッターという魔法だよ!風を回転させて、そよ風にしたり回転を早くすると刃のようになるんだ!ハーピー族は風属性の適性が高いんだ」


 聞けば聞くほどファンタジーのようなゲームのような世界なんだな。


 「ねぇ?その世界で戦った戦争に、にぃぽんは負けたんだよね?」


 「日本ね。そうだよ。オレの曾祖父くらいの年代の話だね」


 「でも聞いた感じだと奴隷とかも居ないんでしょ?戦争の後たった100年もしない内に攻めてきた国の人達と仲良くなれるの?」


 「う〜ん。難しいところだね。勝った国・・・連合国・・・更に詳しくいうとアメリカという国なんだけど、徹底的に刃向かえない教育を施してきたからね。ちなみにオレもその教育を受けた世代だよ」


 「私は攻め込んできた国に友情関係は気づけないかもしれない」


 「まぁこれは人それぞれだよ。国、人種が違えば考えが違うし、宗教もあるからね。その点、オレの生まれた日本という国はどれをとっても寛容な国だったよ。食べ物もなんでもあるし、ファッションや趣味も多様だったし、旅行だってどこへでも行ける・・・あれ・・・涙が・・・」


 「ユウキ・・・・」「泣くなって!」「私達も生きていけるように手伝うよ!」


 日本の事を思い出して話していると自然に涙が溢れていた。二度と帰る事のできない故郷。これからはこの世界で生きていかないといけないんだ。


 せめて思うのは、もしこの世界で死んだら魂だけは地球に帰りたい。そう願う。


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