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 「なんと!?ではその地球とやらからやってきたと申すのか!?」


 「何回も言ってるじゃないですか!?助けていただき、怪我を治してくれた事は感謝してもしきれないくらいです!だから話を信じていただきたい!」


 オレは考える事をやめた。考えたところで地球に帰れるわけではないし、そもそもここがどこかすら分からない。


 だからこのハイエルフさん・・・ちなみに名前はミリヤというらしい。そして年齢は驚く事に250歳だそうだ。オレの常識が全て覆される。ハイエルフではまだ若いくらいだそうだ。


 とにかくこれだけ聞いただけで、はいそうですか。とはならない。いや、なれない。更に深掘りして聞いていくと色々分かった。


 この森を更に奥に入ったところに村があるらしい。他にもハイエルフは居るらしいがまずはオレが敵意がないか調べるつもりでここで看病してくれているらしい。


 村の者は貴重な薬を使ってはいけない派と神の使いに違いないと言い薬、容認派で別れたそうだ。ただ、何も変化のない生活は面白くないとの事・・・特に古代の神との戦争を知らないハイエルフ世代はこの島から出たいと思う者が多いらしく、外の世界から来たと思うオレを治そうとなり・・・


 「私が1番回復魔法、薬学の知識があるから治療したのじゃ。感謝するが良い!それにしても感知できない毒とはなんだったのじゃろう?」


 「あぁ、多分放射能じゃないですかね?所謂、放射線被曝してたんだと思う」


 「ふむ。久しぶりに新しい発見ができた。面白い」


 本当にこのミリヤさんに関して言えば探究心が強い。もちろんミリヤさんも神との戦争を知らない世代だそうだ。だから、外の世界を知りたいとの事。


 もう一つ・・・他の種族の末裔はどうしているかという事だが、先の話の古代戦争後はハイヒューマン、エルダードワーフ、ドラゴニュートは神が直接種族変化させたらしい。


 「ハイヒューマンはヒューマン族、エルダードワーフはドワーフ族、ドラゴニュートはサラマンダー族となったそうじゃ。その種族の特徴を忘れさせ、戦争後は散り散りとなり今はどうなっているかは分からないそうだ」


 「え!?ならハイエルフではなく、エルフ種族はどうなっているのですか?」


 「我々ハイエルフとエルフは元々一緒じゃ。その昔ハイヒューマンとエルフが混ざり合い、その中から稀にハイヒューマンの特徴を持ったエルフが生まれた。この島にはできる者は居ないが鑑定という魔法で調べるとすぐに分かるのだ」


 「鑑定!?所謂、対象のステータス的な何かを見れる魔法ですか?」


 「なんじゃ。知っているのか。つまらん!地球とやらも魔法で溢れておるのか?」


 オレはまんま、昔ゲームしてた時のような世界なんだと思った。


 「いや、地球に魔法はありませんよ。科学があります」


 「科学とはなんじゃ?」


 「科学とは観察と観測、実験結果に基づいて、理論だった事。例えば・・・」


 ビリビリ


 オレは千切れた足の方の宇宙服の裾を少し破った。こんなゴワゴワした服早く脱ぎたいが、着替えがないから今は我慢だ。


 「この布と布を擦り合わせます。そうすると、摩擦で静電気が起こります」


 JAXAのスーツは優秀だから静電気は中々起きない。だが、一度破れたスーツならさすがのJAXAのスーツでもそうはいかないだろう。


 シャカシャカシャカシャカ


 「この布を触ってください」


 「ふむ。これを触るのだな?」


 パチン


 「痛っ!な、なんじゃ!?チクッとしたぞ!?」


 「ははは。これが静電気。まぁこれが全てってわけではないですが簡単に言えば、異なる二種の物質を擦り合わせることで、一方から他方へ電荷が移動する。物質同士が接触すると、それぞれの仕事関数の差によって物質間で電子が移動するからこういう事が起こるのですよ。これが科学の一端です」


 「だがこれだけで生活はできないだろう!?」


 「それはもちろん。こういう理論立ったものを応用し色々な物を作り地球は成り立っている世界ですよ」


 「そうか。地球は主にどの種族が居るのだ?」


 「種族で言えば虫類が1番多いかな?知能を持った生物で言えば人間が多いです」


 「ヒューマン族か。とりあえずここでずっと話すのは面白くないであろう?村を紹介する。私はユウキが悪いヒューマンには見えん」


 「ありがとうございます。何かの形でいつかお返し致します」


 「そんな事構わん」


 ミリヤさんの後を着いて森の中に入る。15分くらい歩くと、絵に描いたようなログハウスや、地球には絶対にないくらい大きな木の上に家が建っていた。


 「長老様。例の魔力溜まりから現れたヒューマンをお連れ致しました。私、ミリヤはこのヒューマンは悪い者ではないと思います」


 「ふ〜む。妾の思い違いだったか。ハイヒューマンの特徴である黒髪だから皆が帰ってきたかと思っておったのだが・・・」


 ハイヒューマンとは黒髪だったのか。世界が違っても人間は多いみたいだな。それにハイヒューマンとは何かが分からない。できるなら遺伝子の構造がどう違うのかとか知りたい。


 それにこのハイエルフさん達・・・見事にみんな耳が長い・・・。地球の白人のように色が白い人が多い。中には逆に黒人のように黒いハイエルフさんも居るけど。


 「そこのヒューマン。其方は何を望む?」


 「え!?あ、いや別に・・・少しの間で構いません。この世界を分かるまで住まわせてはいただけないでしょうか!?働けと言うならできる事なら致します!」


 背に腹は変えられない。今はなんとか生き延びないと。知らない世界・・・魔物とかいう生き物が居るなら武器がないと1日と待たずして死んでしまう・・・。


 「監視役は引き続きミリヤ。お前だ。ヒューマン。名はなんと申す?」


 「米村勇気といいます」


 「では、ヨネムラユウキ。其方をこの村に住まわす事を妾が許そう。なにもないところだがゆるりとするが良い。食べ物は自分で探しなさい。ここは食べ物が少ない」


 食べ物か・・・確かに落ち着けばお腹減ったな。

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