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 オレは夢を見ていた。だがこれがなんの夢かは分からない。


 ただ・・・悲しい夢だった事は分かる・・・


 「はっ!!ここは!?」


 「目が覚めましたか。旅のお方よ」


 「え!?あなたはだ・・れ・・耳が長い!?」


 「ほほほ。エルフ種を見るのは初めてですかな?そんなに珍しい種族ではありませんがのう」


 「ちょ・・ま、待ってください!あっ!オレの足・・・治ってる!?なんで!?確かワイヤーに引っ掛かり千切れたはずだけど・・・」


 「難しい言葉をお使いなさりますな?言語魔法でも解読できない言葉を喋りますか」


 「言語魔法!?はい!?そもそもここはどこですか!?国は!?」


 「ここはミーシャ大陸・・・本来ヒューマンがこの大陸に来れる事があり得ない。だが、神があなたを遣わした」


 「何を言っているんですか!?意味が分からないのですが!?」


 「ここはミーシャ大陸・・・忘れさられた大地。地図から消された地。其方の怪我は私が治した。血液が半分以上失われ、体全体に見た事のない毒を感じた。エリクサーくらいは御伽話程度に聞いた事があろう?」


 「エリクサー!?いやいや何かのジョークですか!?」


 「其方はどこから参ったのだ?」


 「日本の宇宙飛行士です!ここはアメリカかどこかですか!?」


 「にほんのうちゅうひこうし!?それはどこか!?隔絶されたこの地から200年と出ておらん。その変な名前の国ができたのか。その対となるあめりかという国も初めて聞いたが・・・」


 暫く考えた。まず一つの仮説・・・ここはどこか違う世界という事。二つ目は太平洋のどこかまだ観測されたことのない島があり、そこになんらかの形で落ちた事。だが・・・二つ目の仮説はあり得ない。まずこんな耳の長い白人なんて見た事がない。


 そして、エリクサー・・・然も当然のように出てきたこの言葉・・・。オレはゲームの世界でしか聞いたことのない単語だ。


 「旅のお方・・・其方の話を聞かせてはくれぬか?その後、我等の話を致す」


 「は、はぁ〜」


 オレは一つ目の仮説が正しいという事が分かった。オレはブラックホールに飲み込まれたはずだ。だがあれはブラックホールなんかではなかった。


 オレの話を少しした後、このエルフさんが教えてくれた。そしてこの世界には色々な種族が居るという事が分かった。このエルフと呼ばれる種族は過去に神をも怒らせる事をした種族らしい。


 「話がごちゃごちゃになる前にこの世界の歴史を言おう」


 このエルフ?さんが歴史を語ってくれた。



 「この星はかつてとある種族が世界を一つにした。その国、地の名前はエルドラド」


 「エルドラド・・・まぁ、ここがオレが生まれた星じゃない事は信じます!よくよく見ると生えている木なんか地球で見た事ないです」


 「とりあえず話は続けよう。質問は後で何でも答えよう」


 このエルフが言う種族とはハイヒューマンと呼ばれた種族らしい。


 この世界は魔法がある世界らしい。話しながら手から炎を出され、オレは腰を抜かしてしまった。


 そしてそのハイヒューマンと呼ばれる種族は魔法を極めた種族だった。魔法を極めたハイヒューマンが各大陸に兵隊を仕向け、時に戦ったりもしたが決して乱暴狼藉をしたわけではなく平和的に世界を統一したと・・・。


 だが、世界が平和になると権力者はその栄華にしがみつく。そして、ハイヒューマンと呼ばれる種族は魔力と呼ばれる魔法の源を身体に大量に持っているため魔法に長けているのだが、寿命は短い種族だったらしい。


 その反面このエルフ・・・


 「この地の者じゃないのなら本当の事を言おう。私はエルフではなくハイエルフじゃ」


 「はぁ〜。エルフさんじゃなくハイエルフさんですね。覚えておきます」


 オレは違いが分からず生返事をしただけで、先の歴史が気になった。まぁこのハイエルフさんは不思議な顔をしていたけど。


 そのまま話が再開して更に分かった。


 エルフ含め、ハイエルフと呼ばれる種族は非常に長命らしく、当初は低姿勢でエルフの命の長さというものをハイエルフと一緒に協力的に研究しだしたらしい。だが次第にそれは強引になり一時は内乱になるくらいまで邪険になったが、とあるハイヒューマンの研究者がその秘密を探り当てた。

 

 ハイヒューマンとは非常に魔力が多い種族だったそうだ。だが、減った魔力は自然に回復するのを待つか、植物由来の薬、ポーションと呼ばれる苦い飲み物で補填するしかできないそうだ。


 だが、ハイエルフは魔力はハイヒューマンほどではないがそれなりに多いのだが、回復が非常に早いという事に気づいた。


 そしてハイヒューマンは自分達で魔法を作り出した。


 「ライフスティールという魔法じゃ。だが全てはこの魔法から狂った」


 「ライフスティール・・・」


 この世界の生き物全てに魔力は含まれている。魔力がなくなるとその生き物は死んでしまう。魔力も歳が経てばどんどん劣化していくらしい。


 どんな魔法でも一定の魔力を使い術を使うのだが、劣化した魔力では使う魔力が倍以上にもなるらしい。だから常に新鮮な魔力を求め、この世界の生き物・・・魔物と呼ばれる者をライフスティールという術で根刮ぎ刈り取った。


 この世界の秩序として、オレは分からないが空気中にも魔力は漂っているらしい。その魔力の元はどこにあるのか・・・それが魔物と呼ばれる生き物らしい。


 魔物から発せられる魔力が空気中に放出される。それを魔物含め、他の種族もその養分を貰う。


 この事を神が作り出した世界のシステムと呼ばれているらしく、魔物は魔物同士で交配し生まれてくる者もいれば、魔力溜まりというところで生まれてくる一代限りの魔物もいるらしい。


 「その神が作り出したシステムを大きく壊す魔法がこのライフスティールと呼ばれる魔法じゃ」


 「確かにそのライフスティールでしたっけ?乱発すれば魔物は絶滅してしまいますよね」


 その通り・・・世界は魔力が枯渇し、魔力を失った植物は枯れ、地が割れ、魔物の数が少なくなった。だが、ハイヒューマンは気にせず魔物を狩り続けた。


 「結果・・・神の怒りに触れた。私は見ていないが私のお婆ちゃんが言っていた。初めて神が降臨し、名指しで怒っていた。ハイヒューマン、ハイエルフ、エルダードワーフ、ドラゴニュート、ハーピー・・・今言った種族はハイヒューマンと共にライフスティールを会得した種族じゃ」


 気が付けばオレは自分の事なんかよりこの世界の歴史が気になっていた。


 まず、このライフスティールを会得していた種族は神が作った強力な魔物により刈り取られていった。代表的な魔物が今も世界のどこかで眠っていると言われている。それが天空の神龍、地上のギガントス、世界の守護者キングベヒーモスと呼ばれる魔物だそうだ。


 「この3匹はこの世界の秩序を正す魔物と言われ、ドラゴニュート、エルダードワーフは完璧に居なくなった」


 「え!?じゃあハイヒューマンやハーピーでしたっけ!?他は!?」


 「この神が作りし魔物を逆に倒そうとした種族が居た。そう。ハイヒューマンだ。ハイヒューマンは盟主となり他の種族を纏め、一進一退の戦いをしていたと言われている。魔法に長けているハイヒューマン、武器を作ったり扱いに長けているエルダードワーフ。魔槍の扱いに長けているドラゴニュート、回復魔法に長けているハイエルフ。4種族は手を取り合った。だが・・・」


 「その3匹の魔物に敗れてしまったと・・・」


 「そうじゃ。正確には戦いの最中に神が天から現れ、見た事も聞いた事もない詠唱を始め、気付けばこの4種族の将、兵は消された」


 「消された!?」


 「あぁ。その通りじゃ。私はそう聞いている。ではハーピーや、ハイエルフは何故残ったか・・・魔法を捨てたからだ」


 「え!?でもさっき炎見せてくれたじゃないですか!?」


 「あぁ。あれは150年も前・・・急に辺りが明るくなり、とある女が現れた。すると辺り一面に声が響き、こう聞こえた」


 『あの大戦より1000年が過ぎました。罪を少し許しましょう』


 「女がそう言うと、身体の中が熱くなるのを感じお婆ちゃんが涙を流しながら言った。『魔法が戻った・・・』と。それから魔法を知っている老齢のハイエルフに魔法を教わり、魔法が戻ったと言っても、生活に必要な魔法が戻っただけで使えるのは炎と水が出せるのと少しの回復魔法だけじゃ。ちなみにその女というのが神だったとも言っていた」


 このハイエルフさんは残念そうに言っているが、それだけでもかなり凄い事だとオレは思う。まさか地球では御伽話でしか出てこない魔法がこの世界にあるなんて・・・。


 それに神も本当に実在するとはびっくりだ。地球では本当に居るかもしれないが見た事ある人はいないだろう。オレの常識が覆される事ばかりだ。


 「え!?ってか、飲ませてくれたと言ったエリクサーとは回復魔法で作ったとかではないのですか?」


 「あれは島に少しだけ残る薬じゃ。まさか天から人が現れるとは思いもよらんかってな?神のお告げかと思い本数も限られるし作る事もできないが使わせてもらった」


 「そんな・・・オレはただの違う世界の人間です!貴重な薬を・・・すいません!!」


 「いや、それはいい。私は其方の存在を信じる。それよりにほんのうちゅうひこうしとはどこじゃ?私が持っている地図は200年も前のものじゃがどのあたりじゃ?」


 これは大変だ。本当に違う世界に迷い込んだのか・・・。これからどうしよう・・・。

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