⑨217号室
[入室00分]
217号室で、ニイナという名前の女子だけで、集会を行うことになったけど、まだ一人だけしかいなくて、私の他にではなくて、私を含めての一人しかいなくて、本当に来てくれるか、すごく心配になった。
[入室10分]
まだひとりで、思い切り叫んだけど、防音だから、誰も気にすることなくて、どれだけイライラしても、誰にもバレることはなくて、ニイナというかわいい名前の生物の中で、今一番イライラしているのは、私かもしれない。
[入室20分]
二人目のニイナがやってきたけど、持参してきた大量のから揚げに、引いてしまって、イライラはどこかに行ってしまい、ニイナ会というより、唐揚げパーティー略してカラパ、になっていく予感しかしなかった。
[入室30分]
三人目のニイナがやってきて、一言も喋らず、ただ部屋の隅の角にハマってしまって、変人だなと感じてしまい、次のニイナは、常識人を頼みます、よろしくお願いいたします、本当に本当によろしくお願いいたします、と願っていた。
[入室40分]
何も盛り上がらぬまま、唐揚げをちまちま食べるしかなく、特に濃い会話というものは何もなくて、ため息をついていると、四人目のニイナがやってきて、キレキレで、ヤバイほど激しくて、ヤバイほど美しい、そんなダンスをしていた。
[入室50分]
五人のニイナは、個々に楽しんでいて、会話も調和も協調性も皆無に近くって、ニイナって、一匹狼的な人が多いのかな、とか色々考えたけど、全然そんなことはないはずで、絶対にそんなことはあり得ないのにな、とずっと思っていた。
[入室60分]
時間になり、部屋を出ようと立ち上がると、五人全員が同時に立ち上がり、一歩目も、しっかりとシンクロしていて、五人の相性は最悪だと感じていたのに、協調の面で、最後の最後に、一気に巻き返して、来た甲斐があったなと、小さく喜んだ。