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⑧213号室

[入室00分]

ここの防音は凄いと聞いて、やってきたのだが、ホントにスゴいのかは、きちんと見てみないと分からなくて、スゴいといっても、ちょっとスゴいと、かなりスゴいがあるから、慎重に行くしかないだろう。


[入室10分]

防音と言っても、完全は難しいのが普通だが、これは今まで見たことのない壁の凹凸とか、壁の素材とかで、期待はかなりできる感じだけど、今まで期待して、何度も裏切られてきたから、今回も過度な期待はしない方がいいかもだ。


[入室20分]

彼女が遅れてやってきたけど、室内の爆音の音楽を聞いてビックリしていて、こんな大きい音で音楽聞いていたの?と驚かれ、やっぱりこの防音室は、他と全く別物かもと、かなりかなり期待していいかもと、思い始めていた。


[入室30分]

彼女が部屋から出たり入ったりしていて、ヤバイヤバイと何度も言っていて、彼女の素早くて少々不気味な動きと、その見開き過ぎている両目に比べたら、この防音室はそれほどヤバくないのかもしれないと、思わせてくれるほど、彼女はヤバかった。


[入室40分]

僕も壁を触ったり、色んな音を出したりしたが、仕組みが分からなくて、どんだけすごい技術なんだよと、感心しっぱなしで、彼女はというと、彼氏は防音壁だ!と言わんばかりに、壁に抱きついていて、嫉妬まではいかないが、それに近いものが溢れた。


[入室50分]

防音フェチで、防音マニアで、ずっとこの趣味を理解されないできたが、彼女という、僕以上の防音マニアに、ネットの世界で知り合って、そこから世界はグングンと広がり、今のような状況になっていることに、幸せを感じ、笑みがずっとこぼれている。


[入室60分]

退出の時間になり、外に出てみると、スゴい泣いている子供がいて、この建物の外まで聞こえているんではないか、というくらいの、声量がとてつもない、オペラ歌手と同等な感じの声で、ここの防音ってスゴッ!と改めて思った。

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