⑦207号室
[入室00分]
ここは密室だから、かなりすごい密室らしいから、情報は誰かが故意で漏らさない限り、絶対に漏れないので、もしも情報がどこかに漏れたときは、誰かが裏切ったときだと思っている。
[入室10分]
私は秘密組織員だけど、特に何もせずにただただ突っ立っているだけで、秘密組織員を名乗ってはいるものの、秘密的なものに何も興味はなく、秘密という言葉の意味さえも、曖昧なくらいだ。
[入室20分]
闇の重要極秘会議らしいけど、よく知らなくて、ただここに連れてこられた一般人と呼ぶ方が合っているくらいの、本当にどこにでもいる、エキストラ的な役割を果たす人、といった感じだろうか。
[入室30分]
ここの防音技術は、本当にすごくて、壁も独特な形状をしていて、扉にも様々な工夫がなされていて、人数合わせ的に、この会議に参加して、お金を稼ぐよりも、ここの防音技術を盗んで、その盗んだ技術で、事業を始めた方が、裕福に過ごせそうだ。
[入室40分]
秘密組織員募集と書いてあって、応募したけど、雰囲気はやさしい感じで、なごやかといえば、かなりなごやかな感じで、闇の組織である必要も、秘密という言葉を付ける必要もないくらいの、クリーンな団体だ。
[入室50分]
そういえば、電気を少し暗めにつけているかもと、思い始めていて、たぶん暗めの電気で無理矢理、秘密組織感を出しているのだと思っていて、暗っぽい密室で、人助けの議案を、ずっとずっとずっとずっと話し合っていた。
[入室60分]
たぶん闇のいい組織なのだろうと思っていたが、帰る直前になってからは、急に偉い人みんなが、防音の壁やらに興味をもって、写真やらメモやらを頻りにとってしまっていて、これは何かやるなと感じた。