⑥202号室
[入室00分]
ここは防音で、絶対に言葉がまわりに聞こえない場所だから、何言ったっていいし、イチャイチャしていいし、エロいことは多少は許される、そんな世界なのだろうと、僕は思っちゃったりしちゃっている。
[入室10分]
ミルクを飲んでいたら、溢してしまって、ずっと彼女が、「ビチョビチョだよ。ビチョビチョだよ」「ビチョビチョだよ。ビチョビチョだよ」と繰り返していて、彼女と二人きりで、こんな空間にいられるなんて、夢のようだなと思っている。
[入室20分]
外に出てソフトクリームを買ってきて、ちょっとずつ、ちょっとずつ、ガブリガブリ、ガブリガブリと、かじっていると、「なめてよ。なめてよ。ペロペロなめてよ」と言ってきて、ソフトクリームを、彼女に言われた通りにペロペロなめてあげた。
[入室30分]
ここは密室だけど、透明な窓みたいなものは一つあって、彼女はずっと外を見ながら、「激しすぎるよ。もっと優しくなってよ」「激しすぎるよ。もっと優しくなってよ」と言っていて、何が?とか、外でどんなことが行われているの?とか、気になることがたくさん溢れてきた。
[入室40分]
「同時に、一緒に寝ようよ、寝ようよ、寝ようよ」「同時に、一緒に寝ようよ、寝ようよ、寝ようよ」と何度も彼女が言ってきたけど、イチャイチャしたかったから、イチャイチャがとても楽しかったから、寝ようとせずに、ずっとずっと起きていた。
[入室50分]
気がつくと、ベッドで寝ていて、起きると「いかせて。いかせて。いかせて」「いかせて。いかせて。いかせてよ」と、彼女がずっと言っていたのだが、いかせての意味が、全く今の僕には分からなかった。
[入室60分]
彼女は密室って気持ちいいねとか、快楽な世界だったわとか、この世界にズボズボといつまでもハマっていたいわとか、それ関係のことをずっと言いながら、ベロを出していて、可愛いな可愛いな、ここに来て本当によかったな、よかったなと思った。