⑤118号室
[入室00分]
友達に呼ばれたけど、かなりミラーボールがキラキラしていて、ギラギラと眩しくて眩しくて、僕にはかなり場違いというか、あまり自分に合っていないというか、これから全然楽しめる予感がしないから、不安がとてもとても大きかった。
[入室10分]
僕は真面目な方だから、そんなに雰囲気に添えていなくて、パーリーピーポーになりきれてなくて、パーリーピーポーさは全くなくて、まさか防音室がこんなんに変身するとは思ってなかったから、その凄さで酒を飲んでいる、みたいな感じだ。
[入室20分]
防音らしいが、こんなうるさいのに本当にまわりに聞こえていないのか心配で、外に出てみたけど、ドアのすぐ横に立っていても、何の重低音も聞こえてこなくて、防音に拍手を送りたくなった。
[入室30分]
この即席クラブのようなものは、生まれて初めてで、色々とノリきれてなくて、友達にもっと楽しんでと言われたけど、楽しいということを示す方法をあまりよく知らないから、唯一のパリピみたいな特技である、歯笛を披露した。
[入室40分]
まだ一時間経っていないのに、かなり疲労していて、踊ったり踊ったりキョドったり踊ったり、踊ったり踊ったり雰囲気に躍らされたり、なんとか心を踊らすようにと、頑張って頑張って頑張ったりしていた。
[入室50分]
ずっと殻を破れずにいたが、迷惑にならないなら、ハジケまくってもいいかなと思って、恥を捨て、その他諸々の邪魔なやつは一気に捨てて、ハジケてハジケてハジケて、解放して解放して解放して解放しまくった。
[入室60分]
ポンポン片付けちゃいましょう、と叫びながら、みんな素早く撤退しようとしていて、その真面目さに、僕の真面目さよりも濃い真面目さを感じ、もっと真面目になりたいなとか、もっと抜くとこは抜いて行こうかなとか、そう思うようになっていた。