③115号室
[入室00分]
同僚に睡眠を気軽に出来る場所があるからと誘われて、部屋に連れてこられたけど、こんな防音で密室でという空間は、カラオケボックス以外では初めてではないかと思っていて、かなりの異空間に思えてきた。
[入室10分]
周りの音が気にならないから、防音は最高と同僚は言っていたけど、部屋は空っぽ状態で、これから睡眠をする僕たちは、睡眠に必要な道具やらを、どこかからか運ばなくてはならなかったり、準備だけで時間がかかるのが予想される。
[入室20分]
仮眠するのにピッタリのソファーがあったり、睡眠するのにピッタリまたはそれを下回る値段だったりするけど、備品の搬入は意外にキツく、時間もかなりかかってしまっていて、正直疲れが増えた。
[入室30分]
疲れたから、思う存分寝ようと思ったけど、このなんとも言えない、今まで出会ったことのない空間に、余所者感というかなんというか、そわそわしたものが溢れはじめて、この空間のことばかり考えすぎたりもして、眠れなかった。
[入室40分]
やっと寝られそうな気になってきたのだが、もうかなりの時間を消費していて、寝る時間はもう少ししか残っていなくて、疲れるためにやって来たみたいな感じになってしまったから、これから頑張って寝るしかない。
[入室50分]
同僚は喋らなくなったから、たぶん寝たのだろうと思っていて、普通ならば寝られる状況ではあるのだが、色々とこの防音室の使い方を考えたり、色々としてしまう性格の僕には、ぐっすりと寝られる状況ではないのだと、思っている。
[入室60分]
同僚のイビキが酷くて、寝言も言ったりしていて、たまに歯ぎしりなんかも聞こえてきたりしていて、ここは防音ではあるが、それは外の音を掻き消すためのものなので、中にうるさい人がいても、それを掻き消すことはできないので、本当に意味ないなと思った。