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②109号室

[入室00分]

謎解きツアーの最初のイベントとして、レンタルの防音室で謎解きをすることになったのだが、謎解きのスタートとしては、派手さがなくて、不気味さだけがある空間だった。


[入室10分]

謎解きは好きだけど、得意ではなくて、あまり分からないことが多いので心配はしていたが、結構時間が経ったけど、何の取っ掛かりも得られないで、防音室の性能の良さばかりに、感心がいっていた。


[入室20分]

個人戦なので、次々とみんなこの部屋を抜けていき、とても広い防音室は、さらに広くなっていき、どんどん寂しくなっていき、脱出ゲーム感は、普通の部屋に比べて、かなり出ているに違いないと、感じ始めていた。


[入室30分]

本当によく分からなくて、いくつも答えを解かなくてはならないのに、まだ最初の問題で立ち止まっていて、【ル】というカタカナを【ノ】と【レ】に分けるところまで分かった頃には、みんな隣の部屋に行ってしまって、ひとりになっていた。


[入室40分]

隣の部屋の声が聞こえればいいのだが、高性能な何も聞こえない防音室だから、声も聞こえなければ、誰かの足音も、入るときに部屋の入り口の上に掛けてあった、あの秒針のうるさい時計の音も聞こえず、パニック気味になっていた。


[入室50分]

次々と、ひらめいて、やっと答えを導くことが出来て、タッチパネルに【夏祭り】と入力したけれど不正解で、ひとりで盛り下がっている今の自分は、夏祭りとは、正反対のものと言っても、過言ではないだろうと、思った。


[入室60分]

ついに時間が来てしまい、タイムアップになってしまい、これまでの人生で一番大きい声を出したのだけれど、防音だから誰にも届かず、外には何の振動も漏れず、この防音室という世界の中だけで、空しく響いていることだろう。

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