踊りましょ! 戦いましょ!
荒野。灰色の大地。
そう表現するのが適切な場所に二人の男女がいた。
冷たい風が世界を撫でる中、二人はただ静かに佇む。
白の御髪を靡かせる美しき女性。
黒の御髪を靡かせる平凡な男性。
両者が顔を上げる。
互いに睨み合う。
紅玉の如き瞳は黒き男を射抜き、漆黒の瞳は白き女性を射抜く。
女性は腰に佩ていた片手剣を抜き、男性は背中に帯びていた槍を抜く。
両者はだらりと構える。
再び冷たい風が世界を撫でる。
それが合図。
そして殺し合う。
最初に動いたは女。
地を這うように低く低く走る。蛇のようにスルリと男の懐に入り込む。
そして、横薙ぎに剣を振るう。
男はそれを間一髪で防ぐ。槍を盾にして防ぐ。
しかし、
「ッッッ!」
勢いを殺すことはできず、後ろへ跳ぶ。
女は追撃する。腰に下げていた剣の鞘を男に投げつけ、男の着地を狙うように追いかける。
男は鞘を空中で槍で防ぐ。しかし、バランスを崩し、後ろへ一回転。
そして、
「クッッ」
「チッ」
シャンと金属が鳴る。
男は槍を地面に刺して腕一本で体を浮かし、女は着地場所に刺された槍に剣を振るった。
男は槍に込められた力を利用して、槍を地面から抜く。反動を利用して距離を取る。
女は力を利用され、残身を乱し、態勢を崩す。
そして一拍。両者ともに態勢を立て直す。構える。
次に動くは男。
自然な動きで槍を投げた。走った。
自然すぎる投擲により、女の反応が遅れる。
刹那に届きそうな槍が迫る。
女は咄嗟に剣で防御を取る。
が、しかし。
ガキンッ。
槍が当たったのは剣ではなく鞘。先に男が弾いた鞘。槍の射線上にあった鞘。
槍が急激に落ちて鞘を弾いたのだ。
「ッッッㇰ」
弾かれた鞘は剣の防御の下を潜り、女の鳩尾に当たる。
それでも大し威力はなく、女が仕込んで着ていた軽い鎖帷子に阻まれたのだ。
でも、だからこそ、それは囮である。
女は殺気を感じる。悪寒を感じる。
女は鞘によってそれていた意識を男へ向ける。
けれど、もう遅い。
女の眼前には突き出された槍が迫っている。男は女が意識を逸らした一瞬で空中に浮かんだ槍を掴み、渾身の一撃を放ったのだ。
女は必死に剣の腹で槍を逸らそうとするが、逸らせず左肩を抉られる。吹き飛ばされる。
跳ねる跳ねる跳ねる。
しかし、転んでもただは起きない。
跳ねながら剣を男へ向けて放つ。投げる。
渾身の一撃による残身を取る男にとってはそれは致命的。
男は無理やり残身を解き、体を捻るがわき腹を切られる。抉られる。
男は剣の衝撃を少しでも失くそうと後ろへ倒れる。よって、態勢を崩す。
両者ともに御相子。態勢を崩す。
女は肩の痛みに顔を顰める。男は脇腹の痛みに顔を顰める。
両者が立ち上がる。が、しかし。女の方が圧倒的に不利である。武器を投げ捨てたのは失策だった。
男はそれをわかっている。
だから。
女へ向かって走り出す。
槍を突き出した。
しかし、女は動じない。
ただただ、佇む。
槍が眼前から落ちてくる。女の頭に落とす。
そして、
「カハッ」
男が地面に叩きつけられた。
女がしたのは単純。ただ手を翳しただけだ。しかし、合気という技術においてそれは当たり前の技術。つまり、力の利用である。ただ、その技術があまりにも完成され過ぎていて、男は騙されたのだ。
そもそも女は剣士ではないことに。
そして女は流れるように男の槍を奪い取り、叩きつけられた男の首元に槍先を中てる。
か、と思ったけど、寸止めする。
「参った」
男が降参の印を上げたからだ。
「いやはや、流石だな」
「フッ。心にもない事を」
そして、女はやはり槍を振り上げて――
「死ね!」
男に突き下ろした。
上手く戦闘描写が書けません。
こうすればいいのでは? という意見が欲しいです。