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兄と姉の会話。
集が家を出た直後、リビングに兄の伊吹が二階から降りてくる。
妹の優を見つけて、声をかける。
「今日は休み?」
「うん。なんと三連休!」
右手の指を3本立てて、嬉しそうに言う。
「羨ましいって、久々の休みだもんな」
「そう、だから思いっきりダラダラしようと思ってるんだ」
嬉しそうにいう優につられて、伊吹も笑みを浮かべる。
と、そこで伊吹はなにかを思いつく。
「もしかして、集がいないのって――」
「お使いに行ってもらった〜」
「行かせたんだろ」
「えへへ」
呆れたように伊吹がいえば、優は誤魔化すように笑って、少しだけ目を伏せる。
「あたしさ、ホワイトスターに拾われてなかったら、あの子と同じになってたと思うんだ」
「うん」
「だから、つい」
伊吹は優しく微笑む。
「外に出て欲しくてか」
「集が嫌がらない範囲での気分転換ならいいのかなって」
あまり踏み込めば、きっと、自分の部屋からも出てこなくなる。自分だけの世界に閉じこもってしまうだろうから。
関わり方も難しいなと、小さくため息をつく二人だった。