家族との距離感。 兄貴の場合
金曜日。
珍しく朝早く起きて、時計を見れば午前7時30分。
いつもなら、この時間サンサンとした太陽の光が部屋の中にあるはずだ。
部屋の中に明かりはない。
部屋を半分に仕切るように引かれた薄手のカーテン越しに窓の方を見ると、兄貴がまだ寝ていた。
カーテンは兄貴が就職してから、『少しくらいはプライバシーもないとな』とか言って部屋に取り付けたものだ。
カレンダーを眺めて、今日が平日だと確認する。
確か、明日までの仕事が〜とかいってたはずだ。
少しだけ悩んで起こすことにする。
「兄貴。今日も仕事じゃなかったっけ」
「今何時だ」
「7時半になった」
「まじか……起こしてくれてサンキュ」
飛び起きた兄貴は慌てて支度を始める。
部屋を出ようとして兄貴が僕の方に振り向いて、ゲームのコントローラーを持つ手を作る。
「久しぶりにバトるか?」
「今度こそ勝つ」
「まだまだ負けねぇよ。そうだ、キャラ出しといてくれよ。時間経過っぽいから」
「わかった」
久しぶりの兄貴とのゲームは、日をまたぐまでで、勝率3割くらいだった。
相変わらず兄貴は強かった。
割と良好な関係。よく一緒にゲームをやってます。