問答無用とか
「集、頼みがある!」
珍しく早く帰ってきたと思えば、姉ちゃんは開口一番にそんなことを言った。
「何、またなんか買い忘れたの?」
「またって私がいつ、何を買い忘れたのよ」
物忘れ甚だしいな。
「一昨日、楽しみ〜とか言ってた食玩」
「な、なんで知ってんのよ」
赤面する姉ちゃんから重い一撃を食らう。容赦なさすぎんだろ。
これ以上暴力は食らいたくないので話を進める。
「じゃ何?」
「うちの事務所の書類整理。スキャンと文字の打ち込みだけなんだけど」
今までのデザイン画が溜まりすぎてるからデータ化しようと話になったらしいけど、人手が足りないらしい。
それでどれくらい期間がかかるかも分からず、常に暇している俺に声をかけたとのことだ。
「時給1,500円、事務所の隅、そんで私の送迎付きでどうだ⁈」
「いや、それ本気?」
時給とか割と破格だと思うんだけど。
「本気よ。時給は社長が言い出したことだし、スキャナーとかはもともと隅に置かれてる。残業したら定時のあんたには待っててもらう必要があるけど、車くらい出すわよ。電車だと(人に)酔うでしょあんた」
「それは、まぁ」
条件としては悪くないっていうか、かなり気を使われてる感じ。
「ていうか、明日一緒に来い!見てから決めろ」
あの紙を束を早くなくしたいと、強制的に話が進められた。まぁ、いいけど。
ありがとうございました。




