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ポーカーフェイスも難しい
久しぶりに会ったおじさんは、久しぶりさを感じさせない。
ただ、それだけで心は落ち着く。
引きこもりがどうとか、そんなことは何も言わないし、いつまでも子供とみられるのもどうかとは思うけど、昔から変わらず接してくれる。
だから、一緒にいて楽なのかもしれない。
元気かって聞いてくるのもいつもと同じ。
会えばいつも言ってくる。
「そういや、聞いたよ。スーパーで働いたんだって」
「うん、まあ」
雑談の途中でポンと尋ねてくる。
おじさんはさりげなく言ってくるから、つい答えてしまう。
「頑張ったな」
笑顔で言われて、一瞬何かが顔に出てたんだろう。よく気がつく人だから見逃さない。
「辛かったけどやりきれたんだ」
「……………」
その言葉に、思い出さないようにせっかく閉じ込めた記憶が浮かんで、涙がこぼれそうになるのを必死で堪える。
堪えながら、なんとなく思った。
多分、家族の誰が呼んだんだろうなって。
ありがとうございました。
フラッシュバックに近いですね。




