10/30
スーパー その1
「えーと」
声をかけるのは苦手だし、できればこのまま帰りたいけどそうも行いかない。
店員さん(同性)を見つけて、どうにかこえをかける。
「……あの、今日ここで、働くことに、なった――」
「ああ、聞いてるよ。小金井君だっけ?」
「は、はい」
家族とか友達には、フツーに話せんのにな。
「僕は有馬です。小金井君の教育係に任命されてるのでよろしくね」
有馬さんは爽やかに笑ってくる。
同い年くらいか?
「ところで、顔色が悪そうだけど大丈夫?」
「満員電車で、ちょっと」
「慣れてないと大変だよね」
「そう、ですね」
そばに置いていたカゴを、通りかかった店員に声をかけてやってもらうように有馬さんは言って、俺の方に振り返る。
「着替える場所に案内するね」
案内されたのは更衣室兼荷物置き場。
制服という名のエプロンを渡されて仕事スタート。
有馬さん、優しい感じの人で良かった。
つっけんどんな人だったら、初日からやってけないもんな。、
ありがとうございました。




