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#69 仕掛け

 展望台の下まで、ソーアはシエルのグリフォンに乗ってきた。

 着くや否や、グリフォンに待機の合図をだすと地面に腹ばいになる。

 ソーアの次に、イグニスとシュリ、アマランス、ライとダーリャの順に着いた。

 

 「行きましょう」


 ソーアの声に全員うなずく。

 全員それぞれ武装をしている。ソーアも拳銃を顔の横で構える。

 展望台に踏み込んだ。

 少し前に来たばかりなのに何故か遠い昔のように感じる。


 「特に変わった様子はないけど……」


 シュリが辺りを見回している。

 ソーアはコマ犬の前に立ち、見つめる。

 

 来た時から変に思ってたけどなんのためのものだろう……


 試しに触ってみる。金属独特のひんやり感が手を伝う。


 「そのコマ犬に触っちゃダメですよ……」


 ダーリャが珍しく発言する。ソーアもそう言われては手を離した。


 「どうして?」

 「そのコマ犬に触ったら、祟りが起きるとか、不幸が起きるとかそういう言い伝えがあるんです。酷いものまでいくと一家ごと死んじゃうとか怖い噂があって……」

 「げぇっ! ソーア触っちゃったじゃん!」


 シュリの言葉を聞き流す。どうせただの噂に過ぎないだろう。


 コマ犬って確か神の使いとまで言われているよな……神の使いに触れるのは禁忌ということだろうか。


 ソーアはまさかとダーリャに聞き直す。


 「じゃあコマ犬に触るやつはいないのか?」

 「ええたぶん。そもそもこの展望台自体あんまり人気じゃありませんから。階段が多くて……」


 確かにここの階段の多さは異常だ。階段を登り切った時の疲れは半端じゃなかった。


 「決まりだ」

 「何が……ってうぉぉぉ!」


 ソーアはコマ犬をゴシゴシ触る。それを必死に阻止しようと全速力で駆けつけようとしてくるシュリ。

 触っても違うなら押してみる。コマ犬の身体を押しても動かない。


 「ん?」


 頭を上から押してみたら動く感触があった。

 

 「これだ!」


 ソーアは嬉しさに思わず声を上げる。


 「何がや?」

 「どうしたんだ」

 「見つかったの〜」


 アマランス、ライ、イグニスの順番で近づいてきた。

 ソーアは話しだす。


 「これが鍵なんだ。シュリ、僕が合図をいったらこのコマ犬の頭を垂直に押してみてくれ」

 「大丈夫なの?」

 「大丈夫だ。ここに近づかせないように作った噂だ」

 「ん〜」


 シュリは渋々と言った感じでコマ犬に近づき、コマ犬の頭の少し上で手を止めた。

 

 「よし、いくぞ。三、二、一、押して!」


 同時に押した瞬間――上に登る階段の続きに下へ続く階段が姿を表した。

 みんな、またそれぞれ感嘆の声を上げる。ソーアもこんな仕掛けを見るのは初めてだ。


 「よし、ここからが本番だ。みんな行きましょう」

 

 ソーアを先頭に敢然と地下への階段を踏んだ。

 



 

 


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