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#63 弾丸の言葉

 ソーアとシエルは広場近くの家の屋根上にいた。三角屋根はソーア達の身体を隠し、頭だけ出して敵の様子をうかがえる絶好のスポット。

 ここまで運んできたグリフォンは道で待機させ、いつでも飛び立てるように準備させている。


 「あっ! おい、ソーアあいつらそろそろ仕掛けるぞ」

 

 シエルの目線の先を追いかける。

 そこにはグリフォンを器用に操ったイグニスとライが引き寄せようとしていた。


 シュリはイグニスのグリフォンで辺りの家の高さぐらいの高度を飛んでいた。

 イグニスは合図を出す。


 「いたね〜。シュリ全力であおって〜」

 「りょーかい。血が騒ぐねぇ」

 

 シュリは髪の毛を後ろで無造作にひとまとめにした。

 敵をあおって注意を引きつける単純な作戦。

 少し距離を空けて止まる。

 背中を向けてマシンガンを撃ち続けているため、ロボットに乗っている二人はグリフォンの大きな羽音にも気づかない。

 車が横を通り過ぎるくらいの音が聞こえるのに。正直うるさい。

 気づいてくれないと意味がない。


 「ん〜。気づいてないし、景気づけに一発お見舞いしちゃって〜。あっ! ちゃんと足元を狙ってね〜」

 「おっけー任せて」


 シュリは左の腰に携える刀の柄に手をかける。

 火花を散らしながら素早く抜刀。

 

 「カラ。来い」


 端的に体の中にいるカラを呼び起こす。

 刹那――シュリの手に持つ刀が火のカラをまとう。

 紅蓮の色をまとった刀を一文字型に力の限り横振り、はね飛ばす。

 狙い通り。ロボットの足元に命中。

 街中をとどろき響かせる派手な音と同時に土の煙が建物の高さまで舞った。とっさに土の煙りには巻き込まれないようにグリフォンを上昇させる。

 土の煙が収まった後、火のカラが命中した地面は綺麗にえぐれていた。


 「ふぅー」


 大会に乱入してきたダーリャの時ほどではないがこれを使うと著しく体力を消耗する。

 だが、あの時とは違う体力の多さが、まだグリフォンに乗れている証拠だった。

 ダーリャに使ったときの体力しかなければグリフォンに乗っている力すら無く、落下していただろう。


 流石に気づいたロボットの脚をを動かして、シュリとイグニス、ロボットを操縦する男とその上に狙撃銃を持つ男は向かい合う。二人とも目を見開かせている。

 声が聞こえるようにまた、建物の高さまで下降する。それを境にシュリの罵詈雑言が言葉の弾丸となり降り注ぐ。


 「あーあ、かわいそーそんな汚いジジイ二人に触られてそのロボットかわいそーだね〜。あっ! ごめんね〜おっちゃん二人の自尊心傷つけちゃって〜」

 

 とっておきの煽り顔を披露するシュリの顔は、ロボットの二人の怒りが爆発寸前というところまで追い詰めた。

 ロボットを操縦する男が上に乗るスナイパーを持っている男にボソリと命令を出す。


 「あいつ、早く殺して」


 操縦している方が階級は上なのだ。


 「了解」


 上にいる男もボソリと呟いてスコープを覗く。

 だが、さっきの土の煙のせいでスコープが土まみれになり、拭かなければ見えない状態だった。

 その行動を見てシュリはまた煽りを思いつく。


 「あれれ〜私たちを殺そうとそんなに必死なの? 可愛いねぇ」

 「あれ? こんな相手にかまってあげるなんてあなた優しいわねぇ〜」

 

 謎のイグニスのオカマ煽りが発動しロボットの二人の怒りに拍車をかける。

 とどめにシュリが釘を刺す。


 「そうですね。こんな人間のゴミをおもちゃにしたってなんの価値も無かったわ。んじゃあ、バイバイ」


 グリフォンごと身を翻しシュリは手をブンブン振りながら、去っていく。

 もちろん広場からは反対の方向に。


 十秒くらい飛んだところで、ドンドンドンドン、と連続的に地響きが聞こえた。

 

 「マデェー! オラー!」

 

 真っ赤な顔になりながらマシンガンをぶっ放している。

 上のスナイパーはそれこそ当て物のような勢いでスナイパーのトリガーを引きまくっている。もう土は拭き取ったようだ。


 「はいー! 上質なゴミ一匹釣れました! ここからはイグニスの腕ににかかってるで」

 「了解〜」


 華麗にマシンガンと狙撃の弾を避けていく。

 百メートルの地点までイグニスの腕にかかっている。

 

 


 


 

 

 

 


 

 

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