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#062 舞い上がった

 グリフォンは前を向いたままソーアの一言で全員の目が自分に集まる。


 「考え?」

 

 シエルが思っても見なかったようで思わず声が裏返る。

 

 「考えというか思ったことなんですけど……」

 「いいからさっさと言え!」


 ためらうソーアに眉を吊り上げるシエル。


 「いや……やっぱりなんでもないです……」

 

 なんだろう……まだ何かが足りない。


 パズルのピースが一つだけ欠けているようなそんなモヤモヤが胸中を占める。


 「おい! なんだよしっかりしてくれ」

 「はい…………」


 ボソリと俯きながら答えた。


 「よしっ! じゃあ分担してあのロボットを倒そう!」

 

 ライがソーア達の顔を見渡す。

 その中でアマランスがきょとんと意外そうな顔をした。


 「行ってええんか?」

 

 目を見ながらライは覚悟を決めた真剣な面持ちで大きくうなずいた。


 「逆に俺たちが行かないといけないんだ」


 どうやら、アマランスの勘違いだったようだ。ライは続ける。

 

 「じゃあ……改めて〜……」


 と、ライは煙が立ち昇る街を見渡した。まだロボットには気づかれていない。

 ロボット共が街をマシンガンで街を破壊し、カラ能力者を発見した瞬間捕まえていた。捕まえた能力者は皆、子供ばかりだ。能力を持っていると突破されるからだろう。

 それ以外の黒髪の者は無惨にも赤黒の鮮血を辺りに撒き散らし死んでいた。

 捕まえた子供を街の広場に持っていくと広場全体を包めるような大きさの袋に子供達を乱雑に放り込んでいた。

 泣き叫ぶ者、必死にここから出ようとする者、十人十色だ。

 ロボットはアマランスの話で聞いてた通りに操縦席と思われる場所に一人ガラスの中にいた。そしてその上の席に一人狙撃銃を持っている奴の二人体制のロボットだ。

 その両横に黒光りするマシンガンが存在感を放ちながら二個ついていた。


 ロボットは計三体。街の子供達を捕まえるロボットが二体。広場の袋を監視するロボットが一体。


 「よく見てみるとその……ロボットの形全然変わらへんなあ……」


 ボソリとアマランスは呟いた。

 

 「あれがアマの弟をっ……!」


 怒りに声を震わせるシュリとは別にソーアは一抹の疑問が頭の中をよぎる。


 十年経っても外形のフォルムが全く変わらないなんてあるのだろうか? あれから全く改良がなかったのか? それならそれでいいが……


 ライがまたソーア達に向き直ると、


 「じゃあ、俺とイグニスのチームはロボットの引き付け役だ。あそこにいるのは俺たちが引きつける」


 指差したのは街の中心から離れたところにいる一体のロボット。

 「そして」と指を右に空でスライドさせ、手前にいたロボットを指差す。ライは続ける。


 「あいつはイグニス達が引き付けてくれ」

 「了解〜」


 間延びしたイグニスの返事。

 

 「で、シエルとアマは隠れて俺たちがおびき寄せたタイミングでシエルのチームは子供達の救出。アマランスはあそこに見えるワープ口を破滅してくれ」

 

 遥か高い空を指差した。そこにはブラックホールのような闇が空中に浮かんでいた。そこからロボットが忙しなく行き来していた。

 ロボットの背中にはジェットエンジンのようなものが付いておりそれで空中を飛んでいた。


 「あと……」


 ライはポケットをまさぐると手のひらサイズの透明な箱を取り出した。

 その中にはオレンジの錠剤が半分ほど入っていた。

 それを手の上に人数分出すと配った。


 「これ。カラ増強剤。飲んどいて」


 ライが一粒一粒みんなに渡していく。

 ソーアは一様聞いてみた。


 「ライさん。これって危ないクスリなんじゃないんですか?」

 「あーソーアは知らなかったな。それはカラ増強剤。その名の通りカラを一時的に増やすんだ。最も二粒以上飲んだら危険だけどね。あとそれは一種のドーピングだから大会とかでの使用は禁止されているんだ」


 シエル達を見回すとソーアとシュリ以外はみんなもう飲み込んだようだ。水無しで飲めるらしい。

 ソーアも意を決して飲み込む。


 瞬間、身体の内側が燃えるように熱くなった。


 「うおおっ!」

 「飲むの初めての人はだいたいそう言う反応するな。シュリちゃんもそんな感じやったな」


 どこかでシュリは一度飲んだことがあるみたいだ。


 「へぇ〜」


 ソーアは驚きながらシュリの方を見ると、受け取った時から手の上に乗っている薬と睨めっこしている。

 そんなに薬苦手だったかなと思うと突然シュリは「あっ!」と声を上げた。


 「このだいだい色どこかで見たことあると思ったら母さんがケーキの中に入れてた!」

 「それは、カラを呼び起こす力でもあるからね〜。だからそのケーキに入れたんじゃない〜?」

 

 イグニスの言葉でシュリは「あ〜」と納得した。

 「あと」とシュリがライに質問した。


 「ライ。先にロボットを操縦している人間を殺すのはいけないのか?」

 「それだと、もし殺し損ねた時に何をするかわからない。だから最低、百メートルは引きつける。そのあと、確保に越したことはないが自分たちが殺されるくらいなら先に始末してくれ。だがもしも何かミスしてしまった時はその時はその時ということで」

 「「「「「「了解」」」」」」


 声を揃えて敢然と空に舞い上がった。



 

 


 

 


 








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