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#61 考え

 そんな昼の楽しい時間も束の間。

 

 「た、大変です!」


 本部から一人の騎士が真っ青になりながら走ってくきた。


 「どうしたんだ?」


 ライは素早く応じる。どうやら知り合いのようだ。


 「十年前の銀色の生物がまた姿を現しました!」


 瞬間、電撃が走るように皆の目が見開かれ、走ってきた騎士を見る。

 ライを押し除け、アマランスは震えた手で肩を掴む。


 「そ、それはどこや!」

 「至るところで、です!」

 「じゃあ一番騎士たちが向かっていないところはどこだ⁉︎」

 「に、西の方だと思われます。今さっき確認されました」

 「わかった!」


 いうや否や、グリフォンのところに駆け出した。

 弟の顔が頭をよぎる。

 あの爽やかな笑顔がアマランスの心を蝕む。

 

 もう……街のみんなをあの悲しみのどん底に叩きつけたくない!


 頬を透き通る涙が一筋流れ落ちる。

 だがそんなことに気にしている時間はない。


 待機させていたグリフォンに飛び乗ると同時に上昇する。

 モコモコした背中を三回叩くと、西の方向へ飛び去った。


 「アマ! くっそ無謀すぎるよ!」


 ライは必死にアマランスを止めようとしたがその声は届かない。

 アマランスを追ってきたライはその後ろにいたソーア達に振り返る。


 「じゃあ、俺とダーリャ。ソーアとシエル。シュリとイグニスでそれぞれ行くぞ」

 「「「「「了解」」」」」


 みな、何も言わずに淡々とそれぞれグリフォンに乗る。ただ任務が始まったんだと感じられた。

 ソーアもシエルのグリフォンの後ろに腰を下ろす。

 緊迫した状況でもこのグリフォンの毛並みは少し安心感を覚える。


 「おい。行くぞ!」


 シエルの号令と共に三匹のグリフォンは一斉に羽ばたき始めた。

 息を合わせた羽ばたきを奏でるグリフォン達は西に飛び去っていった。


 †


 「……っ……ああ……!」


 眼下の惨劇にアマランスは声すらも出ず、顔を覆い嗚咽をもらすことしかできなかった。アマランスは変わり果てた街の上空を飛んでいた。

 街は焼け、いたるところで煙が立ち昇る。

 ロボットが十年前と同じように銃弾を撒き散らしながら徘徊している。黒髪の人たちを殺し、カラを持っている人は皆、捕まっていった。


 「……す……殺すっ!」


 その言葉をアマランスが口にした瞬間、意思を汲み取ったのかグリフォンは「キィアアア!」と一声鳴くとスピードをあげる――寸前で誰かが肩を掴んだ。

 とっさに振り向くとライがアマランスの肩をがっしりと掴んでいた。その後ろをシエルとソーア、イグニスとシュリと飛んできていた。

 ライの手の掴み具合と付き合いが長いことから「行くな」と言っているのは大体想像がつく。


 「それは……できひん……」

 

 ライの目を見ながら頭を左右にゆっくりと振る。

 だがそんなことも想定内といった様子でライは少しも動かず、じっとアマランスを見つめる。

 普段なら照れるだろうが、アマランスも動じない。


 「アマさん。それを決めるのはこの後にしてもらってもいいですか?」


 ライから少し頭をそらし無言で声の主を見とめる。

 声の主。ソーアは初めて見るアマランスの冷淡な目線にすくみそうになりながらも続ける。

 

 「僕に考えがあります」

 



 


 

 


 


 

 

 

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